引越しするからクルマを買う(その1)
ぜんっぜん建築と関係のないお話でございますが、っていうかホントだったら入居前の内覧会という予定だったのですが、私ただいまなぜか上海に連れてこられており、でもってホテルの無線LANがひたすらしょぼく、大量の画像を処理するのがめんどくさすぎるので内容を変更してお送りいたします。
えー、本来だったら11月に完成予定だった私たち一家3人の程々の家。んが、遅れ遅れて結局のところ引越せたのが4月も半ばに差し掛かっての話でございました。
予定がココまでずれ込むと多少なりとも生活に影響が出てまいります。ていうか、端的に言えば仮住まい費がむやみに掛かり、オマケに引越しシーズンにかかってきて引越し代もうなぎ登りなのであります。
妻「引越し代の高かねえ」
私「そうですね」
妻「ローンの金利ば払いながら家賃払うのも痛かねえ」
私「そうですね」
妻「あがん家建てるからお金の掛かってしょんなかよ」
私「そうですね」
妻「どのくらい損することになるんやろか?」
私「そうですね」
妻「聞いとっと?(#^ω^)」
基本的にココまで、家に反映された希望の割合として私8:妻2くらいの割合のため、この問題について私の発言権はありません。というわけで、仕方がないので完成が半年遅れたことでどのくらい損をするのか計算します。
家賃(7万円@6ヶ月) :42万円
ローン金利(4万円@6ヶ月):24万円
引越し代(シーズン差額) :5万円
合計:71万円
私「……」
妻「……」
私「どうしましょう」
妻「……(#^ω^)」
仕方がないので71万円をひねり出すための算段を考えます。まず、仮住まいの家賃とローン金利分はどう頑張っても減らせません。ので、引越し代を減らすことを考えます。ていうか、なんだかんだで荷造りは進んでるし、冷蔵庫や洗濯機なんかの大物は持っていかないので、もそっと安くなりそうなもんなんですが、うーん。
私「あ」
妻「どがんしたと?」
私「ひらめきました」
妻「お」
私「クルマを買い替えます」
妻「?」
私「名付けて『クルマで全部解決作戦』であります」
【作戦詳細】
① 今乗ってるクルマを売る(50万くらい)
② 今のクルマ用に買うつもりだったスタッドレスをキャンセル(15万くらい
③ 今のクルマ用の部品を売却(5万くらい)
④ 新しいクルマ買う(△10万くらい)
⑤ 引越し代浮く(10万くらい)
⑥ 70万円トクする
私「完璧だ」
妻「ちょっと」
私「はい」
妻「④はなんね?」
私「読んで字のとおりです」
妻「10万て」
私「余裕余裕」
妻「あと」
私「はい」
妻「④と⑤の関係がわからんばい」
私「いやだから引っ越しで大物ないじゃん?」
妻「それが?」
私「荷物積めるクルマあれば引っ越し自分でできるじゃん?」
妻「……引っ越しでケガしても労災の降りんとよ」
私「……」
というわけで、男らしく土地問題の責任をとって今乗ってるクルマをを売却し、10万円くらいで引越しできるクルマを探す旅に出ることになりました。って、あんのかよそんなもん。
妻「楽勝言うとったやん」
次回「引っ越しするからクルマを買う(その2)」につづく
目標をセンターに入れてスイッチ(その2)
【注意!】本記事にはスイッチに興味のある人ほどどうでもいい情報ばかり載っています。時間のムダにならないようご注意ください。
前回、建築ブログでスイッチ好きとか配線マニアとか公言している人々に対し、北朝鮮ばりに一方的な宣戦布告を行った私。というわけで、記者会見場よりお届けいたします。
司「それではご質問をどうぞ」
記「常軌を逸したスイッチマニアということですが」
私「そのとおりです」
記「やはりアメリカンスイッチなどがお好きということでしょうか?」
私「スイッチの本質が分かっていない人からの質問にはお答えしません。次!」
記「す、スイッチに興味を持ち始めたのは?」
私「物心ついた頃からです」
記「具体的にはどのような?」
私「あらゆるスイッチを合法非合法問わず押し、ひねり、入手してきました」
記「たとえば?」
私「火災報知器、車掌弁、ドアスイッチ、工業用漏電遮断器、信号機、魚雷発射管……」
記「もう結構です!」
私「スイッチそのものだけでなく、スイッチを押す仕組みにも興味を持ってきました」
記「と言いますと?」
私「死刑執行用の電気椅子や核ミサイルの発射シーケンスなどです」
記「は?」
私「あるシーケンスを踏んで、初めて最終的なスイッチ操作が有効になるということに、この上ない興味をそそられるのです」
記「(アカン)」
私「次の質問!」
記「これまで操作したスイッチの中で最も印象に残るスイッチは?」
私「ひとつに絞るのは大変難しいのですが」
記「代表的なものをお願いします」
私「まずは京三製作所の信号てこスイッチです」
記「なんですかこれ」
私「見ての通り、鉄道用の信号機を切り替えるためのスイッチです」
記「(見たってわかんねーよ)」
私「人命に直結する装置なだけに、その操作感といったら」
記「いったら?」
私「操作後一瞬遅れて動作するリレーの電磁石が落ちる感覚まで伝わってきました」
記「は、はあ」
私「あとはこれも感慨深かったですね」
記「あ、これは」
私「春日電機の動力用押釦開閉器です」
記「(えっなにそれは)」
私「誰でも買えますが、誰もが一度は押してみたいと思えるスイッチではないでしょうか」
記「ま、まあ確かに(買えるんだ……)」
私「家庭用スイッチではこれが今でも名残惜しいですね」
記「じ、じーめんす?」
私「海外、特にヨーロッパではごくごく一般的なスイッチです」
記「コレの一体どこに魅力が?」
私「使ってみればわかります」
記「というと?」
私「ボタンが大きいので空振りしにくい」
記「はあ」
私「オンオフが遠くからでもひと目で分かる」
記「はあ」
私「クリック感耐久性ともに上々」
記「そうなんですか?」
私「コレに比べれば日本の住宅用スイッチなんて全部民生品です」
記「(そりゃ民生品だろうよ)」
私「スイッチに必要な機能って何だと思いますか?」
記「?」
私「確実な操作、これだけです」
記「(あたりまえじゃねーか)」
私「それが、こんな小指の先みたいなスイッチで確実な操作ができますか?」
記「……」
私「こんな隣とくっついてるようなスイッチで確実な操作ができますか?」
記「いやでも上の1つボタンのやつなら……」
私「スイッチの幅が狭すぎて、1センチ指が横にずれたら空振りですよ?」
記「た、確かに」
私「こんな押し間違いやすくてクリック感もスカスカのスイッチ!」
記「(いやこれ人気のスイッチだろ)」
私「間違ってもミサイルのスイッチには使えませんよ!!!」
記「わかりましたわかりました、じゃあシーメンスのスイッチを使ってください!」
私「……」
記「……」
私「……」
記「……(あれ?)」
私「使えたらこんなに荒れてなーい!!!」
記「使えないんですか?」
私「法律が……」
記「あ」
私「日本の法律が……」
記「コレですね」
私「このPSEマークがないばっかりに……」
記「断られたんですね」
私「ジンボとかいう聞いたこともないメーカーのスイッチはよくて……」
記「(いや聞いたことはあるだろ)」
私「世界のジーメンスのスイッチが使えないなんて……」
記「……」
記「やめてください」
私「ほかにも!」
記「え?」
私「ほかにもイロイロリクエストしたのに全部ダメって!」
記「た、たとえば?」
私「コンセントの変更もダメ! テレビの裏に空配管通すのもダメ!」
記「はあ」
私「TVアンテナを小屋裏に隠すのもダメ! 配電盤をパントリーにつけるのもダメ!」
記「えーと」
私「日本市場に出してくれないジーメンスも嫌い!」
記「……」
私「これっぽっちも理解してくれないBESS東葛も嫌い!」
記「……」
私「ヘンテコな法律つくる日本政府も嫌い!」
記「……」
私「みんな嫌い嫌い嫌い大っ嫌い!!!!」
記「(面倒くせえ……)じゃ、じゃあ、リビングライコンも本意ではなかったと?」
私「……はい」
記「他はなかったんですか?」
私「このルートロンという商品を最初考えていたのですが」
記「コレは有名じゃないですか」
私「ご覧の通りの耳クソのようなサイズのスイッチが我慢できなくて……」
記「あ……」
私「しかもアメリカ製品全般に言えるのですが、押し心地もウンコで……」
記「(ウンコって)」
私「なのでやむを得ずパナソニックのリビングライコンを選択したのです」
記「そ、そうですか」
私「ぐすん……ぐすん……」
記「じゃ、じゃあ引き続き家づくりがんばってくださいね」
私「くすん……くすん……」
記「それでは、記者会見場からお届けしました」
と、まあ、このように法律と無理解という高い山に阻まれて、電気関係の無茶なリクエストはほぼ通らなかったわけですが、最後にせめてもの意地でテレビアンテナの設置工事は断り、DIY地獄の道へと進むわけでございます。
妻「ちょっとちょっと」
私「あれ、いたの?」
妻「リビングライコンが本意じゃなかったって」
私「あっ」
妻「アレいくらすると思っとーね(#^ω^)」
私「(タスケテー)」
次回「引っ越しするからクルマを買う(その1)」につづく
目標をセンターに入れてスイッチ(その1)
照明も決まり(暗いけど)、階段も決まり(できるかわかんないけど)、いよいよもって決めるべき場所がなくなってきた私たち一家3人の程々の家。繰り返しになりますが、こんなちっぽけなワンルームでこんなに考えることがあるなら、フツーの注文住宅を建ててたら何枚の図面を自分で書く必要があるのか検討もつきません。
と、そうこうするウチにBESS東葛から配線図が送られてまいりました。コレまたごちゃごちゃしてるけど、やっぱりフツーのお宅に比べればシンプルそのものなのでしょう。あな恐ろしや。
階段図面作成事件(なんでも事件をつければいいというものではない)で心身ともに消耗していたので、こちらはもうホントにさらっと目を通して赤を入れます。ロフトのシーリングが3つのままになってたりしますが、もうここはあえて突っ込まずに気がついてくれるのを待ちます。
で、フツーとちょっと違うかもしれないのはこのあたり。
① 5回路のリビングライコンを導入
② 3路スイッチがない
③ 階段ボックスの中にコンセントとテレビアンテナとLANコンセントを用意
④ 外構のジョイントボックスに200Vを用意
①のリビングライコンは、以前の記事でもちょっと触れたこちらの商品を導入いたしました。
えー、こんなちっぽけな家には不釣り合いな装備というのは重々承知之助ではありますが、なんというか、スイッチが苦手なのであります。
いや、それだとなんか石器人みたいに思われてしまうので表現を変えると、スイッチがズラッと並んでるのがかなり嫌いなのでございます。なので、最近流行りのスイッチニッチとかは作りたくなく、むしろスイッチもコンセントもできれば普段あんまり見えないようにしたく、じゃあ小っちゃいのが並んでるくらいなら大きいのが1個あるほうがマシという考えであります。
取り付け場所は我が家の中でおそらく動線の集中するキッチン横の壁。階段の下に常夜灯を仕込むつもりなので、あえて子機をロフトの上につけたりせず、親機のみの導入です。
②の3路スイッチがないというのも、そもそもどっちかで点けてどっちかで消したいと思うような場所がないというのはともかく、やっぱりスイッチを減らしたいという考えから。
同じく③についても、テレビの周りにあるNasneやらAppleTVやらアンプやら何やらを、階段ボックスの中に閉じ込めてしまうために用意しました。そのほかのコンセントについても、その前に家具を置いて隠すことを前提に配置。どうやって使うのかと言えば、もちろんドリルとノコギリの出番であります。うひひ。
最後の④は、そのうち絶対電気自動車がほしくなるだろうという予測のもと、その充電用として事前に回路だけ用意。あとからやろうとすると意外と面倒ということを事前に聞いていたので、来るべき21世紀に向けて(もうとっくに来てる)準備は万端であります。
とうわけで、これでスイッチとコンセントのお話はおしまい。以上!
妻「待ちんしゃい」
私「え?」
妻「なんかスイッチ嫌いくらいのコトば言っとるけど」
私「は、はい」
妻「なんか前にめっちゃスイッチについて語られた覚えのあるっちゃけど」
私「うっ」
妻「あと、めっちゃ配線についても語られた覚えのあるっちゃけど」
私「うっ」
妻「現に引っ越してからテレビの配線に3日も掛かっとるけど」
私「うっ」
妻「全部わたしの気のせいやろか?」
えー、すみません。皆様が大変迷われているスイッチやコンセント。家が小さいのをいいことに、ココをさらっと流そうとしておりました。が、不肖この私(38)、これまでの人生において
泣く子も黙るスイッチマニア
という評価をほしいままにし、さらには
偏執狂的な配線マニア
という評価も各所から頂いております。
と、コレを読んで「あーわかるわかる」とか思ったそこの人。次回の記事で生まれてきたことを後悔するくらいの目に遭わせて差し上げますので、みなさま覚悟の程をお願いいたします。
妻「やめんしゃい」
次回「目標をセンターに入れてスイッチ(その2)」につづく
もっと光を!(その4)
オーデリックとパナソニックのショールームに行き、似たり寄ったりのプランを頂戴し、つまりそれがほぼ最適解なのだろうというズボラな考えのもと、そいつに多少のアレンジを加えることにした私たち一家3人。が、そんなズボラにプロから待ったが掛かったのでありました。
前回のプランでは「絶対にリビングが暗い」と太鼓判を押された私たちの程々の家。確かにこちらのプランでは地明かりがまったくありません。
私「うーん、でも地明かりいるかなあ?」
妻「上からぺかーっていう灯り嫌いやもんねえ」
私「ていうか、そもそも暗い家を無理して明るくする必要があるのだろうか」
妻「リビングは暗くても問題なかけんが、ちょっと変化は欲しかね」
私「あ」
妻「?」
私「こういうのはどうだろう?」
妻「また意識の高そうなことを」
私「言ってくれるなおっかさん」
妻「でも確かに可愛らしかね」
私「ほら、こんな感じでオシャレになるって勧めてるサイトもあるですよ」
妻「なんかタイトルの貧乏くさかね」
私「言ってくれるなおっかさん」
妻「でもこがんことホントに出来っと?」
私「無理かしら?」
妻「ウチってテレビボードなかやろ?」
その通り、確かに我が家は意識高い系階段の採用に伴って、テレビが踊り場に壁掛けという、文字だけではまったく意味がわからないどころか、やってる本人たちもまったく想像がつかない構造になることが決定しております。
私「あ」
妻「?」
私「じゃあ踊り場に照明埋め込めばいいんじゃない?」
妻「えーと」
私「はい」
妻「つまりこの踊り場はテレビボードであって収納であって」
私「はい」
妻「もちろん通路でありながら照明も埋め込むと」
私「左様でございます」
妻「成功の確率は?」
私「さ、三割?」
妻「……」
私「(ちょっと弱気だったか?)」
妻「ずいぶん強気やね」
私「ファーwwwwwwwwwww」
妻「まあ、やってみんしゃい」
私「え、いいの?」
かように妻の寛大な処置により、踊り場に照明を埋め込む計画が発動。というわけでリクエストをBESS東葛に放り投げます。後は図面が出てくるのを待つだけ!
B「お待たせしました」
私「はいー」
B「あの例の踊り場ですが」
私「はいー」
B「図面ください」
私「ファーwwwwwwwwwww」
BESSに任せとけば勝手に建つというのは何だったのかという自問自答の日々は、実はこの先も続いていくわけですが、まあでもちょっぴり予想はしていたのでそこまで驚くこともなく、イラレで粛々と図面を作成します。なんで俺がとか考えたら負け。で、できたのがコレ。
私「できましたあ!(私をスキーに連れてっての冒頭の矢野くん風に)」
B「えーと」
私「はい」
B「コレどこに照明入るんですか?」
私「天板の切り欠きの中です」
B「その下に根太があるんですけどwwwwwwwww」
私「コレ使ってください」
こちらのライン照明、フツーのに比べて高さがたいそう低く、たった15mmしかありません。天板に使う集成材の厚みは30mmなので、その天板を切り欠いて根太の上に直接コイツを置いてしまえば全然問題ない(はず)なのであります。
B「……」
私「いかがっすか?」
B「まあ、実際は大工さんがやりたいように作るからなあ(小声)」
私「え?」
B「いや、なんでもないです」
私「図面つくるのにかかった睡眠時間返してwwwwwwww」
と、まあ、あとは切り欠いた照明の上にホコリが入りそうとか、やったところで思い通りに照明が開くとは限らないとか、梁とテレビのセンターに合わせられるか分からないとか、切り欠いたことで踊り場の強度に責任が持てなくなるとか、後向き全力疾走のご意見を頂戴しましたが、こちらも睡眠時間を削った以上後には引けないため、図面通りどころか長辺にも踊り場を設けてくださいくらいの図面を再提出することに。
B「えーとこれは」
私「いやこれがあったほうが便利じゃないですか」
B「取り外し可能っていうのは」
私「だって固定しちゃったら中を収納にできないじゃないですか」
B「……」
私「……」
B「大工さん……(小声)」
と、まあ、このような争いに一体なんの意味があるのかさっぱりわかりませんが、とりあえずの話として希望は何とか押し通すことに成功。出来上がりがどうなるのかは知りません。ははは。
私「というわけで、これで照明は片付きました」
妻「ちょっとちょっと」
私「?」
妻「地明かりは?」
私「あ……」
妻「(#^ω^)」
次回「目標をセンターに入れてスイッチ(その1)」につづく
もっと光を!(その3)
一家3人の期待を背負ってオーデリックのショールームに行き、ビシっとやる気の無さを見せつけてきた私。でもって、そこにあった動く天井やらなんやらをいかにも楽しげに妻に報告したところ、思わぬ展開が発生いたしました。
妻「そがん楽しかトコやったら私も行きたか」
私「めんどくさいからいいって言ったの君じゃないか」
妻「(#^ω^)」
私「慎んでご案内させていただきます」
とはいえ、3日と空けずに同じショールームに行ってもバカみたいなので、もうちょっと検索して今度はこちらのショールームにお邪魔することにいたしました。
こちらは前回のオーデリックとは異なり、パナソニックで作っているものであれば照明以外のお風呂やキッチン、トイレなんかも展示してある大型の施設。そのぶんと言ってはアレですが、照明そのものはオーデリックよりボリューム感は少なめな感じです。
でもって、前回と同じく家の説明をしてひと通りの恥をかき、ひと通りの希望をお伝えし、オーデリックより面白くなかったという理由だけでひと通りのお小言を妻よりいただいて帰ってきたわけですが、ソレだけでは何なので一応オーデリックとの印象の違いなどを。って、二択かよ。
オーデリック:デザイン重視・種類豊富・お値段安め
パナソニック:機能重視・種類そこそこ・お値段高め
私「まあ、オーデリックのほうがカッコいいのは多かったですなあ」
妻「そうなの?」
私「シーリングファンとか明らかにオーデリックのがカッコよかったし」
妻「たしかにコレはかっこよかばい」
私「他のシーリングファンはなんか妙な装飾がついてるけどシンプルだし」
妻「家がコテコテやけん、シュッとしてたほうがいいね」
私「なにより大きいのがカッコいいっす」
妻「あれだけガラーンとしてる空間で小さいのがクルクル回っててもおかしかばい」
私「(若干引っかかるな……)」
妻「?」
私「あと玄関ポーチ用の灯りとか」
妻「これは果たしてかっこいいんやろか?」
私「ダメ?」
妻「ていうかパナソニックのこれは便利やったばい」
私「あ、確かに」
妻「これならスイッチをズラ~って並ばせんでも済むし」
私「君でもスイッチの場所を一発で覚えられるしね」
妻「照明がス~って切り替わるのも雰囲気よかばい」
私「いきなり真っ暗になって何も見えんばいとか騒がなくて済むよね」
妻「(若干ひっかかるとね……)」
私「?」
妻「あと美ルックとか」
私「これ必要かなあ?」
妻「美しい妻がより美しく引き立つけんね」
私「……」
妻「……」
などといったやり取りの後、一週間ほどしてオーデリック、パナソニックそれぞれからプランが送られてまいりました。つか、どっちも封筒がでっかくてビビります。
まあ、こちら。当たり前といえば当たり前かもしれませんが、どちらも驚くほど似通ったプランとなっております。どちらもざっくりとこんな感じ。
どちらも私たち夫婦の意向を反映してか、特にこだわりがない感じ。まあ、シロートがいらんこだわりを見せたところでロクなことにはならないので、基本的にはこのプランを踏まえつつ、もうちょっとだけ考えてみます。
私「キッチンにダクトレールがあれば好きな時だけペンダントを吊るせるねえ」
妻「吊るしっぱなしにせんで済むのはええねえ」
私「でもどっちもやっぱり天井を照らすスポットは付いてるんだなあ」
妻「掃除せんばならんのはいややねえ」
私「ロフトはホントにモデルルームのとおりですなあ」
妻「まあアレはアレでよかやっか」
このようなまったく真剣に議論する様子もなく、とはいえ以下のような問題点もありそうななさそうなコトが判明いたしました。
・天井を照らすスポットライトは掃除が大変だから却下
・シーリングファンに照明を付けるのは見た目が美しくないから却下
・ロフトの東側はベッドを置くからその上のシーリングは不要
・階段灯はつけたり消したりがめんどくさいから不要
・広縁はもっと明るくしたいからダウンライト&スポット追加
えー、なんといいますか、基本的に中は暗く、外は明るくという、まさに住人の性格そのもののリクエストとなったわけですが、つまりそれを図に起こすとこんな感じになります。
というわけで、この内容で再度オーデリック、パナソニックの両社にプランを出し直していただくことに。で、返ってきた答えがこちら。
オ「リビング絶対暗いと思うんですが……」
パ「リビング絶対暗いと思うんですが……」
文字通り暗雲が立ち込めてきた我らが程々の家の照明計画。誰が見ても暗いのはわかりきっているだけに、早期の解決策が待たれます。てか、解決するのこれ?
次回「もっと光を!(その4)」につづく
もっと光を!(その2)
前回はとんだインターミッションになってしまいましたが、ようやく照明を決める所までこぎつけた私たち一家3人の程々の家。ここまでですでに9割方燃え尽きておりますが、さあ、選ぶぞう。
私「ということで照明を選ばなければなりません」
妻「え?」
私「『え?』とは?」
妻「電気って最初っからついてこんの?」
私「雑草やタケノコじゃないんだから勝手に生えてきてたまるもんか」
妻「めんどくさか〜」
私「まあまあどうせワンルームとロフトしかないんだから」
妻「そしたらもうアレでよかばい」
私「アレ?」
妻「ほらあの丸くてポッカリしとるやつ」
私「まさかコレじゃないだろうな」
妻「そうこれこれ」
私「ちょっとまて」
私「コレに」
私「コレをどう合わせるんだよwwwwwwww」
妻「おかしか?」
私「ていうかドコにつけるんだよwwwwwww」
妻「そがんこと言うんやったらなんか案はあるんやろね?」
私「うっ」
妻「ほらいつもの腹案とやらを出してみんしゃい」
私「……ないです」
妻「えっ」
私「腹案なんてないですうううううう」
妻「じゃあなんで私の丸くてポッカリばバカにしんさっとね!」
私「でもソレがおかしいことくらいは分かりますうううううう」
と、まあ、このように夫婦ともども照明にこれっぽっちも興味がないことが判明してしまい、どうしようどうしようと考えて検索した結果、照明メーカーにもショールームというものが存在することが判明いたしました。ので、見に行きます。
で、最初に引っかかったのがこちら。ご存知オーデリックであります。ご存知というのは私レベルでも名前を知ってたという意味でして、まあつまり有名メーカーには違いないという判断であります。
というわけで高井戸駅からトコトコ歩き、いざショールームへ。思ってた3倍くらい立派な施設でびっくりしつつ、まずはご担当いただく上品なご婦人に家の間取り図をお見せします。
オ「こちらは別荘ですか?」
私「一家3人でガチで住みます」
オ「……」
私「……」
オ「クロスや床などイメージできるものはお持ちですか?」
私「カタログと写真があります」
オ「この色調はあくまでモデルルームですよね?」
私「何も聞かれていないのでたぶんこのままの色だと思います」
オ「……」
私「……」
オ「素敵ですね」
私「本当にそう思ってますか?」
オ「いえいえ、暗いところがお好きな方もいらっしゃいますから」
なぜか若干変質者扱いされつつ、とりあえず展示スペースへ進んでいきます。ココには動く天井とか切替可能な照明とかイロイロ面白いものが多く、なんとなく学生のころにお芝居をやってた時のことを思い出したりします。で、イロイロご説明を受けながら、希望する照明について質問を受けたりします。
オ「なにかイメージされてるものとかは?」
私「皆無です」
オ「……」
私「あ、でもコレはいやだってのはあります」
オ「ぜひお願いします」
私「まずこれ」
オ「この建物にこれはちょっとwwwwwww」
私「ですよねーwwwwww(一人で来ててよかった)」
オ「ほかには?」
私「コレとか?」
オ「ブラケットですね」
私「はいー(そう言うんだ)」
オ「雰囲気的には建物に似合うと思いますけどねえ」
私「実家にあったコレがホコリの山になってて」
オ「あーwww」
私「基本的にホコリがたまらないのがいいです」
オ「なるほどー」
ここまでやる気なくショールームに足を運ぶ人もなかなかいないとは思いますが、話してるうちに条件としてはだいたいこんな感じというのが分かってまいりました。
① ホコリがたまらない
② たまったとしても掃除がラク
③ キッチンと土間ダイニングはそこそこ明るいほうがいい
④ リビングとロフトは暗くてもかまわない
⑤ 広縁はきちんと使えるように明るくしたい
⑥ リビングにはシーリングファンをつけたい
えー、なんといいますか、とにかく照明についたホコリを掃除するのがめんどくさい人々なので、①と②は必須。でもって、キッチンが暗いと料理に差し支えるので③は当たり前として、問題は④と⑤であります。
程々の家の場合、リビングとロフトはほぼ一体の空間。でもって、すべて勾配天井のうえに真ん中に梁がどーんと表れているので、何も考えずに天井にダウンライトをつけちゃうと、その影が落ちてきてウザそうな気がいたします。
モデルルームのように梁の高さくらいまでペンダントライトを下ろしてくれば影の問題は解決しますが、そもそもペンダントじゃフロア全体は明るくならないし、中途半端な高さだから掃除もめんどくさいしということでコレもイマイチ。ということで、リビングの照明はイロイロめんどくさそうです。
次のロフトは基本的に寝るかリラックスする場所なので明るさは特に必要なく、広縁はある意味程々の家のハイライトなのでキチンと照らしてあげるのが人としてのやさしさかと。
で、最後のシーリングファン。これはそもそも好きというコトのほかに、基本的にドアも何もないひとつの大きな空間なため、ある程度きちんとしたファンをつけてあげることで家中の空気を循環させ、つまりエアコン1台で全館空調と言い張るために必要なアイテムなのであります。
オ「となると、明るくしたい土間と広縁はダウンライトで明るさを確保して」
私「ほうほう」
オ「リビングはコーブ照明でムードを出すのはいかがでしょうか?」
私「なんですかそれ」
オ「こういうやつです」
私「おお、かっこいい」
オ「これで天井を照らしてあげれば登り梁を効果的に見せることができるかと」
私「なるほど」
オ「で、さらにアクセントとして、モデルルームみたいにスポットを当てると効果的です」
私「あー」
オ「ダメですかね?」
私「いやあ、ライトが外に出ると掃除がめんどくさいなあ、と」
オ「ははは」
私「ははは」
オ「……」
私「……」
オ「ロ、ロフトはどうしましょうか?」
私「あ、そこはもうモデルルームみたいな感じでいいです」
オ「あ、これたぶんウチの製品ですねwww」
私「じゃソレでwww」
オ「それではいただいたご意見をもとにプランをご用意いたしますので、一週間ほどお待ち下さい」
ご意見というほどのご意見はこれっぽっちも言った覚えは無いのですが、とりあえずご厚意に甘えてプランを頂戴することとなりました。長くなってきたのでまた次回!
次回「もっと光を!(その3)」につづく
もっと光を!(その1)
前回までで窓のアレコレを決めた私たち一家3人。基本的に真っ暗な家になることが決定したわけですが、それではさすがに生きていけないので、照明を選ぶことにいたします。
と思いきや、朝から息子がやけどし、病院に連れて行ってついでにアレルギー検査をしてもらったら泡を吹くほど泣き叫び、でも待合室にいたかわいい女の子を見たとたんヒックヒック言いながらにっこり笑い、将来が不安になってきた帰り道にクルマがゴールデンレトリバーに追い抜かれてそいつをひっ捕らえ、でもって銀行に出向いたものの書類を忘れて2往復し、さらにホームセンターに出向いたものの段取りが悪くて2往復し、そしたらもう野球が始まっててヤキモキしながら見てたらもう9時で、おまけに先日使ったクワイエットルームにようこそをCSでやっててそれも見てしまい、あわてて配線作業を始めて壁の中をHDMIケーブル通したら向きを間違えててやる気を失い今に至ります。
というわけで、光っぽい話題はまた明日。
あ、ていうか、こんな光っぽいお手紙を頂戴しました。田舎万歳。
回線引けないのにどうやってよろしくお願いすればいいのか、誰か教えてください。
次回「もっと光を!(その2)」につづく
薄暗い家をつくる方法(その4)
窓のサイズと、そこから見える景色をイロイロ考えて、家の配置まで決めた私たち一家3人。ただでさえ薄暗い程々の家が、ほぼ真っ暗になることが確定したわけですが、そんな窓選びのラストとして、窓の種類を決めていきます。
窓が減った減ったと騒いでおりますが、平面図だとイマイチよくイメージが湧かないため、立面図を作ってみました。まず、当初プランがこちら。
まあ、なんというか特におかしなことはございません。が、どうにもいけ好かない。なんというか、家のフォルムと窓の配置が全然合ってない気がします。で、今回の決定プランがこちら。
なんということでしょう。窓が半分になっただけで、ものすごーく家のプロポーションが強調されて、シャープな印象を受けるようになるじゃありませんか。なんか東面を見ると、1階に窓がないようにも見えますが、どのみちこっちにはエコキュートや井戸ポンプが設置される予定なのでへーきへーき。
で、ここでちょっと気になったのですが、この決定プラン、どのくらい窓が少ないのかを計算してみます。窓のリストは以下の通り。順序は広縁側から反時計回りです。
【1階】
三連引き違い窓(W2600・H2300)
縦すべり窓(W300・H1370)
縦すべり窓+FIX(W405・H1810)
縦すべり窓+FIX(W650・H1810)
【2階】
上げ下げ窓(W650・H980)
上げ下げ連窓(W1245・H980)
上げ下げ窓(W650・H980)
でもって、いろんなサイトを見てみると。なんでも床面積に対して窓の面積というのは、一戸建てでだいたい25%、マンションだと19%くらいが標準とのこと。ほほう。というわけで計算してみます。
床面積 78.24㎡
窓面積 9.44㎡
窓割合 12.07%
少ないwwwwwwwwwwww
このように、一般的なお宅にくらべて半分以下の窓サイズになることが分かったところで本題に移ります。
窓が少なくなったとはいえ、デメリットばかりではありません。窓が少ないことによる主なメリットはこんな感じ。
・断熱性能が上がる
・窓代が安くなる
これがどういうことになるかと言いますと、つまりこれまでと同じ予算を窓に掛けるのであれば、よりいい窓を採用できちゃって、でもってケチったとしても、そもそも窓が小さいので断熱性は十分に確保できるというわけです。たぶん。
ので、我が家としては、ほぼ同じグレードの窓を採用することといたしました。
そもそも、程々の家のハイライトとも言える広縁側の掃き出し窓は特注品らしく、通常4枚建てになる幅のところが3枚建てとなっております。ので、枠の数が少なく開放感そのものは出るのですが、他の製品はどうも選べないっぽいムード。モノ自体はYKKAPのエピソードというアルミ&樹脂複合サッシなので、まあ必要最低限の性能は確保しているはず。
そんなわけで、選べるのは実質その他6枚の窓。これら全部をあわせても掃き出し窓1つに及ばない面積のため、そんなバカ高い窓を入れたトコロで効果の程はたかが知れてるはず。
というわけで、他の窓については同じYKKAPで、同じくアルミ&樹脂複合サッシのAPW310シリーズで統一することにいたしました。
こちら、オール樹脂サッシのAPW330シリーズと結構迷ったのですが、我が家の場合、周囲はなにひとつ遮るもののない過酷な環境。当然紫外線も当たり放題です。そんな環境で外壁側も樹脂の場合、数年でクルマのヘッドライトみたいになっちゃうんじゃないの疑惑がどうしても発生したりします。
クルマのヘッドライトならご覧の通り磨き倒してやればなんとでもなるのですが、建物の窓枠を磨き倒してる人がいたら、それはただの危ないおじさんであります。ので、ここは外側アルミを選択。そう、私にだって人並みの判断力はあるのです。
ていうか、よく考えたら2階は窓の下に枕が来るようなベッドのレイアウトになる予定なので、そこだけオール樹脂窓にしとけばよかったような気がしないでもありませんが、まあ、それはそれ、コレはコレ。
あとは、1階は縦すべり窓に、2階は上げ下げ窓に統一。縦すべり窓は高さが1810になると、下部にFIX窓がついた二段構成になってしまうため、デザインが若干ごちゃっとするコト。あと、2階は北面の壁の高さが2mほどしかないため、自然と上げ下げ窓の高さそのものも制限されてしまうコト。
そんなこんなで多少の残念ポイントはあるものの、一応カタチになった窓についてのアレコレ。基本増える一方だったコストもここについては圧縮できたので、減額調整を考えてる方なんかはホントにその窓が必要なのかどうか、下の問答集にあてはめて、もう一度考えてみると幸せになれるかもしれません。
【窓を減らす際のセルフ問答集】
・本当にその窓の先を見たいか?
・本当にその場所に自然光が欲しいか?
・本当にその窓をつけることで電気代が節約になるか?
・本当にLEDの電気代より窓代のほうが安いのか?
・本当にその窓による壁紙の日焼けを許せるのか?
・本当は「きゃー素敵な明るいおうち!」って言われたいだけなんじゃないか?
えー、徐々に感じが悪くなってきたので、本日はこのへんで失礼いたします。
次回「もっと光を!(その1)」につづく
薄暗い家をつくる方法(その3)
プライバシーを確保するために窓を半分に減らすという手段に出た私たち一家3人。その代償としてただでさえ暗い程々の家が、よりいっそう薄暗くなることが決定したわけですが、そもそも薄暗い人間なので一向に気にしません。
妻「ちょっとちょっと」
私「どしたの?」
妻「一緒にせんで」
私「なに言ってんだCoccoとか聞いてるくせに」
妻「ひー!」
私「(私も聞いてるけど)」
と、いや、まあ、それはどうでもよくて、話を最初に戻しましょう。そもそも最初考えていた間取りからなぜか反転した程々の家。その理由をご説明いたします。
私たちの土地は南北を道路に挟まれたカタチ。とはいえ、南面の道路は2〜3mほど低くなっているので、直接面しているのは北側道路のみとなります。その北側道路を挟んで家が2軒建っていますが、かたっぽは空き家。でもって、東西を空き地と小さな畑に挟まれ、南側が先日の写真のようにどーんと抜けてるといったロケーションです。
というわけで、最初は次の2点をベースに建物配置のプランを考えておりました。
① 一番抜けてる南東方向に大窓を向ける
② 交通量がやや多い南面道路からなるべく建物を離す
まあ、ごくごく当たり前の考え方だとは思いますが、その考え方にしたがって建物を配置したところ、こんな感じになりました。
確かに上の2点はクリアしているのですが、問題は2つ。キッチン横の窓がお向かいさんの玄関と正対してしまうこと。それと、東側のお隣さんの様子が丸見えになってしまうトコロであります。
お向かいさん問題については、窓と道路の間に目隠しを作ればいい話ですが「じゃあなんでわざわざココに窓開けた?」的な疑問は拭えません。
さらに、お隣さん問題については、窓からお隣さんの敷地までがどえらく遠いため、目隠しをつくるとしたら窓のすぐ前にせざるを得ません。とすると「じゃあなんでわざわざそんなトコに窓開けた?」的な疑問が拭えません。
この問題、結構イロイロ悩んだのですが、どうしてもプライバシーの問題と眺望を両立することができませんでした。やっぱり南東の眺めは捨てがたいのです。
と、そんな悩みを解決してくれたのがお向かいのご主人。土地でうんうん考えてたらお声掛けいただきました。
向「どうしました?」
私「いや、家の向きをどうしようかと」
向「ちなみに、この土地のどのあたりに建てられるのですか?」
おっと、ここでちょっと気づきましたが、初期プランの位置に家を立ててしまうと、お向かいさんからは「なんでわざわざウチの前に?」的な印象を持たれてしまいかねないことに気づきました。
実際はお向かいさんのほうが、グラウンドレベルで2mほど高いため、目の前をまったく塞いでしまうようなコトにはならない(と思う)わけですが、まあ、そのへんは考えたほうがいいかも。
私「いや、この西の端に建てようと思ってたのですが」
向「ほほう」
私「眺めは最高なんですが、ちょっと上手くいかなくて」
向「確かに眺めはいいですよねえ」
私「で、そちらのお宅からだと眺めのジャマになってしまいますから(喰らえいい人ビーム!)」
向「おお、そんなことまで考えていただいて!」
などと、このように思いっきりドヤ顔で悩んでるふりをしていたトコロ、思わぬヒントを頂くことになります。
向「確かに南東は眺めがいいですけど、南西側は冬になると富士山が見えるんですよ」
私「マジっすか!?」
確かに言われるとおり、そちらは富士山の方角。で、たしかに間を遮るモノは何もありません。そう、南東が抜けて見えるとか言ってますが、南西方面も十二分に抜けてるのです。違いとしてはこんな感じ。
南東:3キロほど田んぼが続いて、その奥がこんもりとした小山
南 :1キロほど田んぼが続いて、その奥がこんもりとした小山
南西:3キロほど田んぼが続いて、その奥が住宅街
そう、フツーの感覚で言えば南だろうと南西だろうと十二分にヌケヌケなのであります。だったら、なにも南東に向けることにこだわらなくてもいいんじゃないかな、と。
で、ぼちぼち話してると、ちょうど南西の方角に日が沈んでいきます。キレイとかキレイじゃないとかではなく、気がつくとぼんやり眺めてしまうような夕日。
はるか奥の方には確かに住宅街が見えますが、この時にはもうそんなことこれっぽっちも気にならなくなっていました。で、すぐに帰って図面をイロイロこねくって、できたプランがこちら。
見たくない方に背中を向けるという私の人生そのままに間取りを左右反転。ついでに建物も西から東に寄せて、ちょっと傾けてみました。これでプライバシーの問題は完全に解決。
もちろん南東方面の眺望や、南面道路がちょっと近くなってしまうというデメリットはあるものの、誰にも気兼ねなく暮らすという点では、はるかにメリットが大きいと考えてのことでございます。
というわけで、コレが間取りが反転していた最大の理由。窓を考えるだけだったはずが意外と大事になり、家の位置も変わってしまったので地盤調査もやり直すという悲しい事態が発生したものの、とりあえず富士山がみえれば万事OKです。
さあ、次で窓編は最終回。もうちょっとお付き合いいただければ幸いです。
次回「薄暗い家をつくる方法(その4)」につづく
薄暗い家をつくる方法(その2)
あまりにオープンな土地を買ってしまったため、プライバシーの問題を抱えることになった私たち一家3人。一体全体どうすればご近所さんの目を効果的に遮ることができるのでしょうか?
イロイロ調べてみたところ、基本的にプライバシーを確保するためにはお金がかかります。たとえば目隠しにフェンスを立てたり、植栽を施したり、敷地に入ってこないように塀を立てたりといったことですね。
妻「まあ、当たり前やね」
私「そんなカネはないぞ」
妻「仕方なかやっか」
私「じゃあ、この窓のトコ全部に目隠しつけるんすか?」
こちらがBESS東葛から出てきた窓配置のファーストプラン。なんというかまあ、極めて普通であります。が、パントリーに窓があるのはご愛嬌として、水回りにことごとく窓がついてるので、以前の記事でもちょっと触れたように、プライバシー面で問題が山積みであります。
妻「わざわざそんなコト言うってことは……」
私「はい、腹案があります」
妻「見せんしゃい」
妻「えーと、つまりこれは?」
私「窓の数が12か所から7か所になりました」
妻「却下で」
私「わー、待って待って」
この程々の家、広縁に出る掃き出し窓は、位置大きさともに変更不可。よって、他の窓をアレコレします。
まず1階、水回りの窓をすべてつぶしたのは以前書いたとおりですが、その他にも2か所の窓をつぶし、残った3か所の窓もすべて幅を小さくしました。
妻「まあパントリーに窓はいらんていうのはわかるばってん」
私「はい」
妻「なして左下の窓はなくなってるの?」
私「スピーカー置くのに邪魔だから」
妻「(#^ω^)」
私「ていうか、いや、ちょっと待って」
左下の窓、たしかに採光のためにはあったほうがいいのかもしれませんが、以下の理由であえて潰してみました。
① 大型の掃き出し窓に切り取られる景色に対して雑音になる
② その窓から外を見ることができる位置が家の中で限られる
③ 抜け感の演出に一切寄与しない
妻「まあ、言われてみれば確かに」
私「あと、他の窓はできる限りサイズを小さくしてみました」
妻「なして?」
そもそも、窓の役割っていくつかあると思うのですが、中でも重要なのは採光と抜け感の演出かと思われます。でもって、これはあくまで私個人の感覚なのですが、窓の幅ってちょっとくらい広くなったトコロで、大して明るさにも抜け感にも影響しない気がするんですよね。
むしろ中途半端に大きいと、窓の外の見たくないものが見えてしまって、逆に行き止まり感が出ちゃったり、ひどいとカーテン閉めっぱなしになっちゃったりとか、まあ全部私の実家の話なのですが。
というわけで、その他の残した窓についても、それぞれが担う役割を考えて、それを果たす最小限の大きさに変えてみました。
私「これで南北方向には目線が抜けるし」
妻「ふむふむ」
私「キッチンに立った時にも目の前が壁じゃなくなるから開放感あるし」
妻「ほうほう」
私「基本的にどこに立っても目線が行き止まりにならなくて済みます」
妻「でもさ」
私「?」
妻「これやっぱり暗くない?」
私「じゃあこの写真をみてください」
私「いかが?」
妻「モデルルームやっか」
私「いやそうじゃなくて」
妻「?」
私「これで左右の窓がなくなったからといって、どれだけ変化があろうか?」
妻「??」
私「逆に左右の窓が大きくなったからといって、どれだけ明るくなるだろうか?」
妻「あ、なんとなく分かった」
えー、この程々の家。全体的にたいそう真っ暗な作りなのですが、これは決して窓が小さくて少ないからという理由だけでなく、そもそも家の中が真っ茶色というトコロが大きな原因のひとつとなっている気がいたします。
ということは、多少窓を増やしたトコロで明るくなるはずもなく、逆に減らしたトコロでいきなり真っ暗になるわけでもなく、つまり採光面積にたいへん鈍感な作りなのではないか、と。
であれば、どうせ暗さが変わらないのなら、上に書いたような機能を最低限果たすサイズにしてしまえば、まず第一にこの程々の家のハイライトでもある格子戸ごしに見える景色の印象が強くなるだけでなく、外観もシャープになって断熱性も上がり、当然プライバシーも確保しやすくなって、オマケに窓にかかるコストが安く済む上に工事がラクチンで大工さんも喜ぶという、一石五鳥のつくりになるのではないか、と。
妻「なんか丸め込まれてる気のするばい」
私「あー、窓って高いなあ」
妻「……」
私「数を減らせばその分窓の性能も上げられるんだけどなあ」
妻「……」
私「オマケに目隠しに必要な金額も安くて済むんだよなあ」
妻「なんかアレやね」
私「?」
妻「『健康で文化的な最低限度の窓』って感じやね」
そもそも、この窓の量でホントに最低限度を確保できているのかどうかわかりませんが、ともあれ私たち一家3人の程々の家は、モデルルームのアレよりもさらに薄暗くなることが確定いたしました。で、この家、ドコに建てよう?
次回「薄暗い家をつくる方法(その3)」につづく