目標をセンターに入れてスイッチ(その2)
【注意!】本記事にはスイッチに興味のある人ほどどうでもいい情報ばかり載っています。時間のムダにならないようご注意ください。
前回、建築ブログでスイッチ好きとか配線マニアとか公言している人々に対し、北朝鮮ばりに一方的な宣戦布告を行った私。というわけで、記者会見場よりお届けいたします。
司「それではご質問をどうぞ」
記「常軌を逸したスイッチマニアということですが」
私「そのとおりです」
記「やはりアメリカンスイッチなどがお好きということでしょうか?」
私「スイッチの本質が分かっていない人からの質問にはお答えしません。次!」
記「す、スイッチに興味を持ち始めたのは?」
私「物心ついた頃からです」
記「具体的にはどのような?」
私「あらゆるスイッチを合法非合法問わず押し、ひねり、入手してきました」
記「たとえば?」
私「火災報知器、車掌弁、ドアスイッチ、工業用漏電遮断器、信号機、魚雷発射管……」
記「もう結構です!」
私「スイッチそのものだけでなく、スイッチを押す仕組みにも興味を持ってきました」
記「と言いますと?」
私「死刑執行用の電気椅子や核ミサイルの発射シーケンスなどです」
記「は?」
私「あるシーケンスを踏んで、初めて最終的なスイッチ操作が有効になるということに、この上ない興味をそそられるのです」
記「(アカン)」
私「次の質問!」
記「これまで操作したスイッチの中で最も印象に残るスイッチは?」
私「ひとつに絞るのは大変難しいのですが」
記「代表的なものをお願いします」
私「まずは京三製作所の信号てこスイッチです」
記「なんですかこれ」
私「見ての通り、鉄道用の信号機を切り替えるためのスイッチです」
記「(見たってわかんねーよ)」
私「人命に直結する装置なだけに、その操作感といったら」
記「いったら?」
私「操作後一瞬遅れて動作するリレーの電磁石が落ちる感覚まで伝わってきました」
記「は、はあ」
私「あとはこれも感慨深かったですね」
記「あ、これは」
私「春日電機の動力用押釦開閉器です」
記「(えっなにそれは)」
私「誰でも買えますが、誰もが一度は押してみたいと思えるスイッチではないでしょうか」
記「ま、まあ確かに(買えるんだ……)」
私「家庭用スイッチではこれが今でも名残惜しいですね」
記「じ、じーめんす?」
私「海外、特にヨーロッパではごくごく一般的なスイッチです」
記「コレの一体どこに魅力が?」
私「使ってみればわかります」
記「というと?」
私「ボタンが大きいので空振りしにくい」
記「はあ」
私「オンオフが遠くからでもひと目で分かる」
記「はあ」
私「クリック感耐久性ともに上々」
記「そうなんですか?」
私「コレに比べれば日本の住宅用スイッチなんて全部民生品です」
記「(そりゃ民生品だろうよ)」
私「スイッチに必要な機能って何だと思いますか?」
記「?」
私「確実な操作、これだけです」
記「(あたりまえじゃねーか)」
私「それが、こんな小指の先みたいなスイッチで確実な操作ができますか?」
記「……」
私「こんな隣とくっついてるようなスイッチで確実な操作ができますか?」
記「いやでも上の1つボタンのやつなら……」
私「スイッチの幅が狭すぎて、1センチ指が横にずれたら空振りですよ?」
記「た、確かに」
私「こんな押し間違いやすくてクリック感もスカスカのスイッチ!」
記「(いやこれ人気のスイッチだろ)」
私「間違ってもミサイルのスイッチには使えませんよ!!!」
記「わかりましたわかりました、じゃあシーメンスのスイッチを使ってください!」
私「……」
記「……」
私「……」
記「……(あれ?)」
私「使えたらこんなに荒れてなーい!!!」
記「使えないんですか?」
私「法律が……」
記「あ」
私「日本の法律が……」
記「コレですね」
私「このPSEマークがないばっかりに……」
記「断られたんですね」
私「ジンボとかいう聞いたこともないメーカーのスイッチはよくて……」
記「(いや聞いたことはあるだろ)」
私「世界のジーメンスのスイッチが使えないなんて……」
記「……」
記「やめてください」
私「ほかにも!」
記「え?」
私「ほかにもイロイロリクエストしたのに全部ダメって!」
記「た、たとえば?」
私「コンセントの変更もダメ! テレビの裏に空配管通すのもダメ!」
記「はあ」
私「TVアンテナを小屋裏に隠すのもダメ! 配電盤をパントリーにつけるのもダメ!」
記「えーと」
私「日本市場に出してくれないジーメンスも嫌い!」
記「……」
私「これっぽっちも理解してくれないBESS東葛も嫌い!」
記「……」
私「ヘンテコな法律つくる日本政府も嫌い!」
記「……」
私「みんな嫌い嫌い嫌い大っ嫌い!!!!」
記「(面倒くせえ……)じゃ、じゃあ、リビングライコンも本意ではなかったと?」
私「……はい」
記「他はなかったんですか?」
私「このルートロンという商品を最初考えていたのですが」
記「コレは有名じゃないですか」
私「ご覧の通りの耳クソのようなサイズのスイッチが我慢できなくて……」
記「あ……」
私「しかもアメリカ製品全般に言えるのですが、押し心地もウンコで……」
記「(ウンコって)」
私「なのでやむを得ずパナソニックのリビングライコンを選択したのです」
記「そ、そうですか」
私「ぐすん……ぐすん……」
記「じゃ、じゃあ引き続き家づくりがんばってくださいね」
私「くすん……くすん……」
記「それでは、記者会見場からお届けしました」
と、まあ、このように法律と無理解という高い山に阻まれて、電気関係の無茶なリクエストはほぼ通らなかったわけですが、最後にせめてもの意地でテレビアンテナの設置工事は断り、DIY地獄の道へと進むわけでございます。
妻「ちょっとちょっと」
私「あれ、いたの?」
妻「リビングライコンが本意じゃなかったって」
私「あっ」
妻「アレいくらすると思っとーね(#^ω^)」
私「(タスケテー)」
次回「引っ越しするからクルマを買う(その1)」につづく