薄暗い家をつくる方法(その3)
プライバシーを確保するために窓を半分に減らすという手段に出た私たち一家3人。その代償としてただでさえ暗い程々の家が、よりいっそう薄暗くなることが決定したわけですが、そもそも薄暗い人間なので一向に気にしません。
妻「ちょっとちょっと」
私「どしたの?」
妻「一緒にせんで」
私「なに言ってんだCoccoとか聞いてるくせに」
妻「ひー!」
私「(私も聞いてるけど)」
と、いや、まあ、それはどうでもよくて、話を最初に戻しましょう。そもそも最初考えていた間取りからなぜか反転した程々の家。その理由をご説明いたします。
私たちの土地は南北を道路に挟まれたカタチ。とはいえ、南面の道路は2〜3mほど低くなっているので、直接面しているのは北側道路のみとなります。その北側道路を挟んで家が2軒建っていますが、かたっぽは空き家。でもって、東西を空き地と小さな畑に挟まれ、南側が先日の写真のようにどーんと抜けてるといったロケーションです。
というわけで、最初は次の2点をベースに建物配置のプランを考えておりました。
① 一番抜けてる南東方向に大窓を向ける
② 交通量がやや多い南面道路からなるべく建物を離す
まあ、ごくごく当たり前の考え方だとは思いますが、その考え方にしたがって建物を配置したところ、こんな感じになりました。
確かに上の2点はクリアしているのですが、問題は2つ。キッチン横の窓がお向かいさんの玄関と正対してしまうこと。それと、東側のお隣さんの様子が丸見えになってしまうトコロであります。
お向かいさん問題については、窓と道路の間に目隠しを作ればいい話ですが「じゃあなんでわざわざココに窓開けた?」的な疑問は拭えません。
さらに、お隣さん問題については、窓からお隣さんの敷地までがどえらく遠いため、目隠しをつくるとしたら窓のすぐ前にせざるを得ません。とすると「じゃあなんでわざわざそんなトコに窓開けた?」的な疑問が拭えません。
この問題、結構イロイロ悩んだのですが、どうしてもプライバシーの問題と眺望を両立することができませんでした。やっぱり南東の眺めは捨てがたいのです。
と、そんな悩みを解決してくれたのがお向かいのご主人。土地でうんうん考えてたらお声掛けいただきました。
向「どうしました?」
私「いや、家の向きをどうしようかと」
向「ちなみに、この土地のどのあたりに建てられるのですか?」
おっと、ここでちょっと気づきましたが、初期プランの位置に家を立ててしまうと、お向かいさんからは「なんでわざわざウチの前に?」的な印象を持たれてしまいかねないことに気づきました。
実際はお向かいさんのほうが、グラウンドレベルで2mほど高いため、目の前をまったく塞いでしまうようなコトにはならない(と思う)わけですが、まあ、そのへんは考えたほうがいいかも。
私「いや、この西の端に建てようと思ってたのですが」
向「ほほう」
私「眺めは最高なんですが、ちょっと上手くいかなくて」
向「確かに眺めはいいですよねえ」
私「で、そちらのお宅からだと眺めのジャマになってしまいますから(喰らえいい人ビーム!)」
向「おお、そんなことまで考えていただいて!」
などと、このように思いっきりドヤ顔で悩んでるふりをしていたトコロ、思わぬヒントを頂くことになります。
向「確かに南東は眺めがいいですけど、南西側は冬になると富士山が見えるんですよ」
私「マジっすか!?」
確かに言われるとおり、そちらは富士山の方角。で、たしかに間を遮るモノは何もありません。そう、南東が抜けて見えるとか言ってますが、南西方面も十二分に抜けてるのです。違いとしてはこんな感じ。
南東:3キロほど田んぼが続いて、その奥がこんもりとした小山
南 :1キロほど田んぼが続いて、その奥がこんもりとした小山
南西:3キロほど田んぼが続いて、その奥が住宅街
そう、フツーの感覚で言えば南だろうと南西だろうと十二分にヌケヌケなのであります。だったら、なにも南東に向けることにこだわらなくてもいいんじゃないかな、と。
で、ぼちぼち話してると、ちょうど南西の方角に日が沈んでいきます。キレイとかキレイじゃないとかではなく、気がつくとぼんやり眺めてしまうような夕日。
はるか奥の方には確かに住宅街が見えますが、この時にはもうそんなことこれっぽっちも気にならなくなっていました。で、すぐに帰って図面をイロイロこねくって、できたプランがこちら。
見たくない方に背中を向けるという私の人生そのままに間取りを左右反転。ついでに建物も西から東に寄せて、ちょっと傾けてみました。これでプライバシーの問題は完全に解決。
もちろん南東方面の眺望や、南面道路がちょっと近くなってしまうというデメリットはあるものの、誰にも気兼ねなく暮らすという点では、はるかにメリットが大きいと考えてのことでございます。
というわけで、コレが間取りが反転していた最大の理由。窓を考えるだけだったはずが意外と大事になり、家の位置も変わってしまったので地盤調査もやり直すという悲しい事態が発生したものの、とりあえず富士山がみえれば万事OKです。
さあ、次で窓編は最終回。もうちょっとお付き合いいただければ幸いです。
次回「薄暗い家をつくる方法(その4)」につづく
薄暗い家をつくる方法(その2)
あまりにオープンな土地を買ってしまったため、プライバシーの問題を抱えることになった私たち一家3人。一体全体どうすればご近所さんの目を効果的に遮ることができるのでしょうか?
イロイロ調べてみたところ、基本的にプライバシーを確保するためにはお金がかかります。たとえば目隠しにフェンスを立てたり、植栽を施したり、敷地に入ってこないように塀を立てたりといったことですね。
妻「まあ、当たり前やね」
私「そんなカネはないぞ」
妻「仕方なかやっか」
私「じゃあ、この窓のトコ全部に目隠しつけるんすか?」
こちらがBESS東葛から出てきた窓配置のファーストプラン。なんというかまあ、極めて普通であります。が、パントリーに窓があるのはご愛嬌として、水回りにことごとく窓がついてるので、以前の記事でもちょっと触れたように、プライバシー面で問題が山積みであります。
妻「わざわざそんなコト言うってことは……」
私「はい、腹案があります」
妻「見せんしゃい」
妻「えーと、つまりこれは?」
私「窓の数が12か所から7か所になりました」
妻「却下で」
私「わー、待って待って」
この程々の家、広縁に出る掃き出し窓は、位置大きさともに変更不可。よって、他の窓をアレコレします。
まず1階、水回りの窓をすべてつぶしたのは以前書いたとおりですが、その他にも2か所の窓をつぶし、残った3か所の窓もすべて幅を小さくしました。
妻「まあパントリーに窓はいらんていうのはわかるばってん」
私「はい」
妻「なして左下の窓はなくなってるの?」
私「スピーカー置くのに邪魔だから」
妻「(#^ω^)」
私「ていうか、いや、ちょっと待って」
左下の窓、たしかに採光のためにはあったほうがいいのかもしれませんが、以下の理由であえて潰してみました。
① 大型の掃き出し窓に切り取られる景色に対して雑音になる
② その窓から外を見ることができる位置が家の中で限られる
③ 抜け感の演出に一切寄与しない
妻「まあ、言われてみれば確かに」
私「あと、他の窓はできる限りサイズを小さくしてみました」
妻「なして?」
そもそも、窓の役割っていくつかあると思うのですが、中でも重要なのは採光と抜け感の演出かと思われます。でもって、これはあくまで私個人の感覚なのですが、窓の幅ってちょっとくらい広くなったトコロで、大して明るさにも抜け感にも影響しない気がするんですよね。
むしろ中途半端に大きいと、窓の外の見たくないものが見えてしまって、逆に行き止まり感が出ちゃったり、ひどいとカーテン閉めっぱなしになっちゃったりとか、まあ全部私の実家の話なのですが。
というわけで、その他の残した窓についても、それぞれが担う役割を考えて、それを果たす最小限の大きさに変えてみました。
私「これで南北方向には目線が抜けるし」
妻「ふむふむ」
私「キッチンに立った時にも目の前が壁じゃなくなるから開放感あるし」
妻「ほうほう」
私「基本的にどこに立っても目線が行き止まりにならなくて済みます」
妻「でもさ」
私「?」
妻「これやっぱり暗くない?」
私「じゃあこの写真をみてください」
私「いかが?」
妻「モデルルームやっか」
私「いやそうじゃなくて」
妻「?」
私「これで左右の窓がなくなったからといって、どれだけ変化があろうか?」
妻「??」
私「逆に左右の窓が大きくなったからといって、どれだけ明るくなるだろうか?」
妻「あ、なんとなく分かった」
えー、この程々の家。全体的にたいそう真っ暗な作りなのですが、これは決して窓が小さくて少ないからという理由だけでなく、そもそも家の中が真っ茶色というトコロが大きな原因のひとつとなっている気がいたします。
ということは、多少窓を増やしたトコロで明るくなるはずもなく、逆に減らしたトコロでいきなり真っ暗になるわけでもなく、つまり採光面積にたいへん鈍感な作りなのではないか、と。
であれば、どうせ暗さが変わらないのなら、上に書いたような機能を最低限果たすサイズにしてしまえば、まず第一にこの程々の家のハイライトでもある格子戸ごしに見える景色の印象が強くなるだけでなく、外観もシャープになって断熱性も上がり、当然プライバシーも確保しやすくなって、オマケに窓にかかるコストが安く済む上に工事がラクチンで大工さんも喜ぶという、一石五鳥のつくりになるのではないか、と。
妻「なんか丸め込まれてる気のするばい」
私「あー、窓って高いなあ」
妻「……」
私「数を減らせばその分窓の性能も上げられるんだけどなあ」
妻「……」
私「オマケに目隠しに必要な金額も安くて済むんだよなあ」
妻「なんかアレやね」
私「?」
妻「『健康で文化的な最低限度の窓』って感じやね」
そもそも、この窓の量でホントに最低限度を確保できているのかどうかわかりませんが、ともあれ私たち一家3人の程々の家は、モデルルームのアレよりもさらに薄暗くなることが確定いたしました。で、この家、ドコに建てよう?
次回「薄暗い家をつくる方法(その3)」につづく
薄暗い家をつくる方法(その1)
長かった設備選びも終わり、あとはいよいよおっ建つのを待つだけとなった私たち一家3人の程々の家。と思いきや、まだまだ決めなくてはならないコトがあったりします。というわけで、新シリーズ「窓のお話」のスタートです。
さてさて、以前の間取りバトルで巨大なワンルーム+ロフトという構成になった程々の家・七草。もういちど間取りをおさらいしておきます。
以前からご覧いただいている方は、ひょっとすると「アレ?」なんて思われるかもしれませんが、このプラン。上の間取りバトル時と比べて左右が反転しております。その原因となったのが、ここでご紹介する窓問題でございました。
何度かお伝えしているように、この程々の家が建つ土地というのが完全に大草原の小さな家状態の土地。図にするとこんな感じになります。
それぞれの接道を挟んだ向こう側はどうなってるかといいますと、北側は空き家を挟んでこんもりとした山。で、南側はというとこんな感じの風景が広がっております。
えーと、コレ、つまり何がいいたいのかといいますと、家を隠してくれるモノが何もないのであります。フツーだったら隣に家が建ってたり壁が建ってたりと、何らか家を隠してくれるものがあるので、安心して窓を開けられる方角があるわけでございます。
もちろん、他所からの視線は気になるけどどうしてもココに窓を開けたいと考えた場合、たとえば敷地の境界に壁を作って視線を遮って、でもって内側を庭にしてなんてコトを考えるわけですが、この土地の場合はご近所様が当然のように敷地内に立ち入ってくるという、ある意味著作権フリー住所なわけであります。
21世紀の日本において、通常であればフツーに通報事案なわけですが、あくまで私たち一家3人は後から入ってきて住まわせていただく身。文字通り郷に入らば郷に従えという教えを体現する覚悟なのであります。というか、それ以前に塀を作るとなると、このような問題が発生するのであります。
ちっちゃいwwwwwwwwwwww
と、まあ、このように建ぺい率で言うと8%ほどしかないという、いくら七草とは言えどもなぜこんな土地買ったんだアホがというサイズ感でして、つまり塀を建てようなんて考えたらお金がいくらあっても足りない問題が存在するのであります。
自分でもあまりの意味のわからなさに、口調が軍隊ことばになってしまっておりますが、つまり事ここに至って、少なくとも建物単体で最低限のプライバシーを確保する必要が発生したわけでございます。
建物のプライバシーを確保するための手段として、いちばん効果的なのが土地に対しての建物の配置と、それを前提に窓の配置を考えること。というわけで、プライバシーを確保するための要件と、建物の配置と窓に対するリクエストをいくつかまとめてみました。
① 窓からは覗かれるものとして考える
② 少なくとも広縁からは人が入ってくるものとして考える
③ カーテンは付けたら最後、二度と開けない気がするからあんまり付けたくない
④ そもそも広縁に出る掃き出し窓は格子戸がついてるからカーテン付かない
⑤ 最低限の風が抜ければ、窓は少なくてかまわない
⑥ 広縁に出る掃き出し窓は景色のいい方向に向けたい
⑦ 建物を外部から見た時の窓の配置バランスを考えたい
⑧ ロフトには上げ下げ窓を付けたい
⑨ 断熱性についてはソコソコでいい
⑩ 防犯のことを考えて、1階の窓は防犯合わせガラスにしたい
私「意外とあるなあ」
妻「上げ下げ窓ってなんね?」
私「こういうの」
妻「なんでそんな乙女なん?」
私「うるさい」
妻「まあ可愛いけど」
私「君こそ防犯合わせガラスってなんだ?」
妻「こういうの」
私「なんでそんな物騒な考えなの?」
妻「せからしか」
私「まあ、こっちのほうが安心だけど」
正直なところ、窓だけでこのプライバシー問題を解決することができるとは到底思えませんが、どうせ決めなきゃいけないんだから考えてみることにいたしましょう。
次回「薄暗い家をつくる方法(その2)」につづく
愛と欲望の設備選び(床暖房編)
延々と続けてきた設備シリーズも、とりあえず今回で最終回。残った大物の床暖房を選択いたします。ていうか、こんなちっちゃい程々の家でこんだけいろいろ考えるということは、フツーのサイズの家を建ててる方はいったいいつ寝てるんでしょうか。
むやみに広大な土間スペースを確保してしまったため、そちらに床暖房を設置することとなってしまった私たち一家3人。しかし、実際設置するにあたり、いくつか考えなくてはならないコトが出てまいりました。
① 床暖房の種類
② 設置面積
床暖房にはどうやら3つの種類があるようです。大きく分けて「電気型」と「温水型」、でもって電気型はさらに「電熱線ヒーター式」と「PTCヒーター式」のそれぞれとのこと。
この中でいちばん効率がいいのはガス式温水型とのことらしいのですが、私たちの程々の家が建つ場所は都市ガスどころか水道すらない千葉県の大僻地。かろうじて電気は通っているためオール電化にすることは確定しているので、ガス式は選択肢から外れてしまいます。
じゃあ同じ温水型でも電気で動かすヒートポンプタイプでいいじゃんというお話もありますが、今回に限って考えてみると、実は温水式の意味ってないんじゃないかなあ、と。
温水型がフツーの電気型に比べて効率がいいという理由の一つは温めるものの比熱。フローリングのような熱容量の少ないものを温める場合、それそのものだけを温める電気型だとつまりホットカーペットと大差ないのに対し、温水型なら熱容量の大きい水を温めることで、つまり床全体を暖めることができるわけであります(おおざっぱ)。
と、ここで考えなきゃいけないのは、我が家の床暖房はフローリングの下じゃなくて、土間タイルの下に設置されるということ。どんな意味があるのかというと、タイルはもちろん、その下地のモルタルやコンクリートも、フローリングに比べて遥かに熱容量が大きいのです。
上のリンクを参考にすると、コンクリートもタイルも、フローリングの木材に比べて比熱が約2倍。でもって、さらに熱を蓄えられる厚みが5倍くらい。てことは、単純計算でフローリングの10倍も熱を蓄えられるコトになります。
と、これだけではあまりにも嘘くさいので、実際のスケールで計算してみましょう。ものすごくざっくり、木の比熱を1000、コンクリートやタイルの比熱を2000として、ちょっと見てみましょう。
・フローリング(12mm)+下地合板(15mm)
(12+15)×1000=27,000
・タイル(10mm)+下地コンクリート(100mm)
(10+100)×2000=220,000
おおお、やっぱりリアルに蓄熱容量が10倍近い。てことは、わざわざ蓄熱容量を増やすために水を使わなくても、電気の力で充分に床全体を暖めることができるのではなかろうか、と。
てことで、今回は初期費用も安いし、水漏れの心配もないし、たぶん十分に暖かくなるであろうという楽観的な予測のもと、電気型のPTCヒーター式床暖房を採用することにいたしました。
選択したのはこちらのピアサーモという製品。まあ、特にメーカーにこだわりがあるわけでもないので、ぶっちゃけテキトーです。どうせこんな商品、ドコのでも大差ないし。きっと。
と、方式が決まったところで、今度は設置面積を考えます。というのも土間エリアは下の図のように、玄関土間、キッチン、パントリーと大きく3つのエリアに分かれているのです。
この中で、パントリー部分はそもそもずっと人がいることを考えていない上、こんなトコ暖めたら冷蔵庫の効率は落ちるは床に食料置けないわで意味がないので、考えるべきは玄関土間エリアとキッチンエリアであります。
このピアサーモ。基本的には幅270mmのシートを並べて設置していくわけですが、つまり上のエリアに敷き詰めるとするとこんな感じになります。
キッチンエリアは設置がマストなわけですが、問題は左の玄関土間エリア。もちろん常に人がいるわけでもなければ、基本的には玄関のため、ここで寝っ転がったりとかいうのも大変考えにくい事態ではあります。だって石だし。
もし玄関土間エリアに設置するとしたら、狙いはひとつ。ココをでっかい蓄熱暖房と見立てて、部屋というか家全体を暖かくするというもの。上で計算した蓄熱容量なんかを見るとやってやれないことはなさそうですが、問題はコストであります。
で、ピアサーモのウェブサイトを見ると、1日8時間運転した際のシート1枚あたりの参考電気代が載っております。今回使う予定の2700mmのシートの場合、1枚あたり1ヶ月330円。ということは、上のプランだと9枚なので2970円。でもって、さらに一条工務店のアレを見習って1日中つけっぱなしにすると考えると8910円。
実際にはつけっぱなしにした場合、ゼロから温度を上げる作業がなくなるため、もうちょっと電気代は安くなる方向かと思われますが、うーん、どうしよう。
妻「土間も全部入れたかねえ」
私「えっ、それはまたどうして」
妻「だってタイルに床暖房入れると遠赤外線が出てカラダの芯から暖まるらしか」
私「ほ、ほんとだ……」
妻「やけん家族の健康を考えて玄関土間にも床暖房は必須ばい」
私「ていうか遠赤外線協会って……」
と、まあこのようなやり取りがあり、思わぬカタチでコストアップが受け入れられることに。実際には玄関土間の一番左エリアは、靴箱を置いたり原付を置いたりするスペースになるため1枚減らして6枚。キッチンエリアの2枚と合わせて、合計8枚のピアサーモを2つのエリアに分けて、タイルの下に埋めることとなりました。
こうやって分けとけば遠赤外線蓄熱暖房計画が看板倒れに終わったとしても、キッチンの下だけ暖めるということもできますし、まあ、保険ですね保険。
さあ、これでやっと設備類を選び終わった私たち一家3人。あとはもう建つのを待つだけと言いたいところですが、あともうちょっと決めることがあったりしたのです。体力気力ともやや限界に近づいてる気がしなくもありませんが、まあ頑張ります。
次回「薄暗い家をつくる方法(その1)」につづく
愛と欲望の設備選び(クロス&タイル編)
えー、新居で書く初めての記事であります。もっと落ち着かないもんかと思ってましたが、意外や意外、とっても快適。というわけで、目の前の田んぼから聞こえるカエルの大合唱をバックにお届けいたします。
もはやそろそろタイトルを変えたほうがいいんじゃないか的なムードではありますが、相変わらず欲望が尽きるところを知らないため、このまま続行。というわけで、壁とかの色を選びます。
といっても、私たち一家3人の程々の家、壁と天井の色を選べるのはパントリー、洗面所、トイレの3カ所。前回の記事でお伝えしたとおり、この中で洗面所とトイレは妻の強い希望で真っ白な空間になることに決定しております。
よく皆様がされているように、トイレの壁1面だけをアクセントクロスにするという案も出るには出たのですが、ぶっちゃけフツーの居室がアクセント過多のためお腹いっぱい気味。そのため、天井から壁から床まで白一色という、閉鎖病棟も真っ青の仕様となりました。
そもそも夫婦揃って壁紙には興味がないので、ショールームに行くのをサボってサンプルだけ取り寄せ、そいつをぼんやり見比べてみたものの、もうぶっちゃけ壁に張らないとわけわかんないよねという結論になり、というわけで防汚加工で抗菌加工でなんか国産の竹を使ってるとかいう、東リのWENシリーズから4201番を選択いたしました。キッチンやお風呂に比べて、はなはだ興味が無いのがバレバレであります。
妻「で、パントリーはどがんすっと?」
私「……」
妻「キチンと扉で仕切らんから中が丸見えやけん白じゃおかしかもんね」
私「……」
妻「かと言って回りの内装とも色が合わんばおかしいし」
私「……」
妻「むーん」
私「……黒は?」
妻「またそんな意識高そうな」
私「でもほら、木の色と合うし」
妻「それは確かに」
私「でもって、さっきの壁紙と同じシリーズで黒っぽいのあるし」
妻「4204?」
私「そうそう」
今回の間取りではパントリーの中に炊飯器とか洗濯機を置く予定。換気扇がついているとはいえ、若干湿気がこもることも考えられます。というわけで、やっぱり洗面室と同じような高機能の壁紙で、オマケに黒っぽいのもある(意外と黒って種類少ない)ので、こちらに決定。決して他のカタログをひっくり返すのが面倒だったわけではありません。
で、天井はちょっと迷ったのですが、隣り合うキッチン(こちらは天井が白)と合わせたほうがいいはずと思い、洗面所やトイレと同じ4201を選択。というわけで、クロスが2種類しかない家(しかも同じシリーズ)の誕生であります。
私「や、やっと終わった」
妻「2カ所選んだだけやっか」
私「なんかもうこういうチマチマしたの苦手でござる」
妻「あと1カ所残っとるよ」
私「え?」
妻「キッチンのタイル」
我が家のキッチンはペニンシュラ型になるため、コンロの横が壁になります。とはいえIHコンロを選択したため、特に横を防火処理する必要は無いのですが、さすがに木の壁だといろいろはねた時すぐシミになっちゃうし、かといってキッチンパネルもちょっとイヤ。
なんてことをちらっと打ち合わせの際に言ったところ、程々の家標準仕様のタイルがあるとのこと。で、あるにはあるのですが、イマイチ趣味じゃないので自分で選びますとか言ったのを思い出しました。
私「なんかこういう目地の大きいタイルって好きじゃないんだよなあ」
妻「なして?」
私「今住んでる賃貸がそうだから?」
妻「それはちょっとわかる」
壁紙はこれっぽっちも興味がなかった私たち夫婦ですが、タイルはなんというかちょっぴり非日常感があったりしてがぜん乗り気に。おまけに何と言ってもトーヨーキッチン様の脇を固めるアイテムで、部屋の中でもかなり目立つポジションに位置するため、こちらはうって変わってマジメに検討いたします。
妻「色はどがんすっと?」
私「真っ赤がいいなあ」
妻「趣味悪っ!」
私「ひどっ!」
確かに赤いタイルとか言うとなんかもういやらしさ満点みたいなムードでありますが、そもそも茶色と同系統の色のため、青とかに比べれば逆にしっとり見えるはず。ほら、あの初代iBookでブルーベリーよりもタンジェリンの方が日本の家としっくりきたのと同じ現象であります。
というわけで、こちらは壁紙と違っていそいそとショールームへ。名古屋モザイクからリクシルまで、1日かけてぐるぐる見て回ります。
私「……」
妻「なかばい」
私「ないねえ」
妻「赤いタイルなんてどこもあって1種類やもんね」
私「人気ないのかなあ」
妻「だっていやらしかもん」
ホントにどこのタイル屋さんも、真っ赤に近い赤なんてほぼなく、しかも目の細かいタイプということで選択肢がさらに狭まり、おまけにせっかく見つけた赤いのを見てみると、タイルと言うよりクレヨンで塗ったようなのっぺりした赤で、とても手を出す気になりません。
と、そこでちょっと思い出したのがトーヨーキッチンのショールーム。こちらでもいくつかモザイクタイルを扱ってて、オマケにちょっと離れたところにタイル専門のショールームもあるとのこと。まあ、しょせんキッチン屋さんということで、あまり期待せずに表参道に行くことにいたしました。
トーヨーキッチンスタイル - シチス・トーヨーキッチンスタイル
私「あるぞ……」
妻「あるやっか……」
私「ありまくるぞ!」
えー、カンペキに私が無知だったのですが、こちらで取り扱っているタイルはトーヨーキッチン製ではなく、SICISというイタリアのタイルメーカーのもの。で、どういうわけだか知りませんが、名古屋モザイクなんて目じゃないほどの膨大な種類のいまいち役に立たなそうなタイルが並んでいたのです。
あ、ちなみに役に立たなそうなタイルっていうのは、こういうことね。
もちろんこんなしょーもないタイルがあるのであれば、赤いタイルなんて山ほどあります。これまでの1メーカー1種類体制からすれば選び放題であります。こちらのテンションもうなぎのぼりであります。いえーい!
で、こんな感じのラインナップの中から選んだのがこちらのタイル。シングルカラーのコーラル4というものです。
ガラスモザイクタイルの中ではいちばん暗めの色で、真紅というよりは血の色に近い感じ。まああまり真っ赤でもカープファンと間違えられてしまう可能性があるので、このくらいがちょうどいいでしょう。
もうひとつのポイントとしてはお値段。こちらのタイル、たとえば高いのだと1㎡あたり30万円を超えるというとんでもないエクスペンシブさなのですが、こちらのコーラル4は平米あたり4万円ほどと、まあまあ常識的なお値段。おまけにキッチンを契約した時にいただいた5万円分の商品券が使えたので、実質半額で導入できました。
SICISの中では安いとは言え、なんていうんでしょうね、寄って見たときの質感が国産メーカーとは雲泥の差なのですよ。同じガラスモザイクタイルでも、国産のは色ガラスに見えちゃうのに対し、こっちは色の付いた石英の原石を削り取ったようなムード。
なんて書くと「この外国かぶれが」とか「イタリアってだけで良く見えるだけだろ」などと言われてしまう気もしますが、こちらはこれまでの人生において、さんざんポンコツのイタリア車で煮え湯を飲まされ続けてきたわけで、って、なんの話だ?
とはいえ、これでコスメティックな部分については大体選択完了。最後の大物、床暖房に向かいます。
次回「愛と欲望の設備選び(床暖房編)」につづく
愛と欲望の設備選び(ドア編)
さあ、いよいよ大詰めを迎えた私たち一家3人による設備選びの旅。残るは床暖房とタイルとドアでして、まとめてドーンとお届けするつもりだったのですが、引っ越し疲れのためそれどころではなく(書き溜めとけよ)、今回はドアのみのご紹介。さあ、がんばるぞ。
そもそも私たち一家3人の七草には、玄関を含めてドアが4枚しかございません。ので、選ぶのはとってもラクチン。と思いきや、それなりにイロイロ面倒だったりします。
① 玄関
② 洗面脱衣所入口(引き戸)
③ お風呂入口
④ トイレ入口
まず玄関ドアから。程々の家のドアはご覧の通りのなかなか重厚なデザイン。枠の作りも含めてまったく不満はございません。が、ドアノブだけはちょっとだけ不満。純正のノブは普通のレバーハンドルなのに対し、BESSの主力商品(なのか?)ワンダーデバイスのドアノブは、ご覧の通り体当りすればそのまま開くタイプ。
ものぐさにはこの上ないドアノブのため、こちらにぜひとも変更していただきます。というわけで、BESS東葛さんお願いします。
B「5万円です」
私「は?(迫真)」
B「ドアごと交換になりますから」
私「『美和ロック ワンダーデバイス』で検索ゥ!」
B「BESS本部が……標準仕様が……」
私「じゃあもう5万円でいいです」
たいへん納得いきませんが、こんな押し問答をしてもしょうがないので次は水回り。で、下の間取り図のように、玄関を除く残り3枚のドアは、すべて水回りに集中しております。
1枚目は脱衣洗面所に入るところの引き戸。こちらはBESS純正の木製ドア。これは室内から見た感じ、大変ムードにマッチしているので変更せず。で、お風呂の入口はこのあいだ選んだリクシル純正のガラスドア。なので、もう決定済みであります。
で、問題はトイレのドア。こちら、そのままだとBESS純正の引き戸になるのですが、そのぶん洗面台の幅かトイレの幅が狭くなるので、ちょっと考えた結果開き戸を採用。で、さらなる問題として、色の問題がございます。
ご覧のように、程々の家の扉は引き戸も開き戸もこんなデザイン。で、問答無用で茶色に塗られます。洗面脱衣所は一面がタイルですが、ソコを含めて壁は全部真っ白。当然そこにあるドアは白がベストなのですが、そもそもお風呂のドア枠が黒のため、まあ黒も許容範囲。というわけでBESS東葛さん、ドア塗ってください。
B「え……塗るんですか……」
私「引き戸は外が茶色で洗面脱衣所の内側は黒。でもって枠も黒。トイレの開き戸は外も内も白で、枠は黒。コレでお願いします」
B「え……ほんとに塗るんですか……」
私「おかしいですか?」
B「内と外で色を変えるというのはちょっと」
私「なんで?」
B「本部が……標準が……」
私「じゃあ他所のドアにします」
どうしてもどうしても塗りたくないということらしいので、仕方がないので白いドアを物色。変にうるさくなるのも嫌だったので、シンプルそうなこちらを選択いたしました。
ドアハンドルと鍵は両方四角いのを選んで、その他オプションは何も付けずにとにかくシンプルに。誰ですか、考えるのが面倒なだけだろとか言うのは。
と、まあ、こんな感じでサラリと選んだドアですが、なぜだか建築中に玄関ドアは2回も間違えられ、さらにトイレのドアも標準デザインのものが着いており、若干呪われたモノを感じつつ、で、出来上がってみたら一番「あらら」って感じになったのがこの部分だったため、やっぱり最後まで集中を切らさずにマジメに選ぶというのが家造りには必要なのだなあと感じた次第であります。かしこ。
次回「愛と欲望の設備選び(クロス&タイル編)」につづく
愛と欲望の設備選び(トイレ&洗面台編)
ずいぶん長くなったこの「愛と欲望」シリーズ。1週間以上ぐだぐだやっておりますが、実際考えてた期間もだいたい一緒の長さだった気がします。つまり私たち一家3人そろってろくすっぽ考えてないわけですが、リアルタイムでは今日お引っ越しでありました。ちかれた。
さて、世間一般の皆様は設備関係のショールームめぐりって大好きそうなイメージなんですが、私は大嫌いです。なぜならば、大体が都会にあってめんどくさい上にイロイロ並びすぎてて覚えてられないという、脳に致命的な欠陥を抱えているからであります。
これが私大絶賛(まだ使ったことないけど)のトーヨーキッチン様とか、妻大絶賛(まだ入ったこともないけど)のスパージュ様くらいの様子のおかしさであれば、帰宅後もなんとか記憶にとどめておけるわけですが、コレがトイレとか洗面台とかになっちゃうと、どんなに詳しく説明を受けて「あ、コレいいかも」なんて思ってても、ショールームを一歩出たとたんにどのメーカーの何がどうだったかなんてこれっぽっちも覚えていないのであります。
って書いてみて気づいたのですが、なんかトーヨーキッチンとかスパージュとかを導入することになったのは、機能がどうとかデザインがどうとかではなく、単純に記憶力の問題なのではないかという気もしてまいりましたが、そうなると家造りというか生き様の根本が揺らいでしまう気がするので見て見ぬふりをします。
幸いその辺のコトに気づいたとこで、前回決めたスパージュに使われるタイルをもういっぺん見たいという妻のリクエストがあったため、もうめんどくさいので都会じゃなくて近所のちっちゃいリクシルに向かいます。
私「そんなわけで全然覚えられないんですよーははは」
リ「まあ基本的にはどのメーカーもどのグレードも大きくカタチは違いませんからね」
妻「バカですいません」
リ「いえいえ」
私「というわけで、トイレも洗面台も今日ここで決めていきます」
リ「え、いいんですか」
妻「バカですいません」
というわけで、まずはいちばんこだわりのないトイレから。一応思いつくままにリクエストをお伝えしていきます。
① タンクレスがいい
② リモコンがカッコいいのがいい
③ フタが勝手に開くのがいい
④ トイレ内に手洗いはいらない
⑤ ていうか紙巻器だけあればいい
私たちの程々の家、トイレには窓もなく壁紙も天井も床も真っ白の予定。なのでもうイロイロめんどくさいことは言わずに、とにかくシンプルな白い空間に白いおトイレがちょこんと置いてあるのがイメージであります。
私「というわけで、なるべくかっこよくて小さいのが理想です」
リ「でしたらこのサティスシリーズですね」
リ「3種類ありまして、手前からG、S、Eタイプになります」
私「違いがわかりません」
妻「バカですいません」
聞いたとこによると、Gタイプは機能満載、Sタイプはコンパクト、Eタイプはその名の通りエコノミーという住み分け方とのこと。よくよく見るとカタチがそれぞれ違ってて、比べてみるとエッジがシャープなSタイプが好みの感じです。
リ「お手洗いの長さが壁芯で1820mmあるのでしたらGタイプでも入りますよ?」
私「いや、カッコよくて小さいほうがいいです」
リ「Gタイプなら泡クッション機能もありますが」
私「なんですかそれ」
リ「男性が立って◯◯◯のとき××××で△△△△な機能です」
私「座りション派なので不要であります」
妻「バカですいません」
そんなこんなでトイレはサティスSタイプに決定。で、この中でも「S8」「S6」「S5」という3種類のグレードがあって、その中から選べるとのこと。機能の違いはこんな感じ。
【S8だけにある機能】
→ リラックスミュージック
→ 部屋暖房
【S6以上にある機能】
→ プラズマクラスター消臭
→ フルオート便座
→ ほのかライト
私「リラックスミュージックとは?」
リ「座ると自動的に音楽がステレオで流れる機能です」
私「それはつまり音姫様*1的な?」
妻「バカですいません」
というわけで、フルオート便座が欲しいけど、自分がトイレにいることを音楽でアピールしたくない私たちとしては、選択肢がS6しかございません。ので、コレに決定。あとはリモコンをスマートリモコンに変えてもらって、ついでに2連の紙巻器もお願いして、トイレはコレで完了。次は洗面台です。
で、この洗面台。お風呂と合わせるために、正面部分がタイルになることが決定しておりまして、そのタイルもつまりもう決まっております。ニュアンスミックスホワイトとかいう、まあほとんど真っ白のタイルです。
プロダクトサーチ - タイル建材 - INAX WEB CATALOG
特にオシャレでもなければ特徴もないのですが、逆に言えばあんまりタイルタイルしてないので(どういう意味だ)、どんな感じにもすることができそう。ってことで、洗面台選びなんてやっぱり一瞬で終わるでしょ的なムードでございました。ということで、リクエストはこんな感じ。
① 幅は1650mm
② ボウルはトイレ側に1つでOK
③ タイルを活かせるデザイン
④ お風呂場との連続感があるデザイン
⑤ 収納力よりもシンプルさを全面に押し出したデザイン
まず、一見2ボウルは便利そうですが、よくよく考えるとボウルそのものを2人で同時に使いたいというシチュエーションってあまりないのではないかという点に気づいたため、幅があるのに1ボウル仕様を希望。でもって、トイレの中に手洗いがないので、トイレを出てすぐのところにボウルがあればいいなあ、と。あ、汚いと思う人はウチに来ないでください。
で、そこから下のリクエストは、まあつまりそういうことです。収納力よりデザイン重視ってことですね。で、さっさと選んで帰ろうとした5分後。
私「……」
妻「なかばい」
リ「うちのショールームに置いてあるのは洗面化粧台になっちゃいますからねえ」
洗面化粧台となると基本的にはミラーと洗面台がセット。別にそれ自体は問題ないのですが、そうするとせっかくのタイルが全然見えない。というか、お風呂場との一体感というコンセプトが丸つぶれになってしまいます。これはいけない。
私「ボウルだけ選んで造作にしてもらう?」
妻「彼らがロクなの作れるとも思えんばい」
私「たしかに」
リ「造作とまではいかなくてもカウンタータイプっていうのもありますよ」
LIXIL | 商品ラインアップ | 洗面化粧室 | カウンタータイプ
平たく言えばミラーと別体になっていて、まあつまり家というかお店とか会社とかでよく使うタイプのもの。これなら造作とまではいかなくてもミラーや水栓の選び方次第でタイルを活かしたデザインにできるとのことであります。
実物がないとのことなので、カタログをお借りしてその場で熟読。すると、こんなプランが目に止まりました。
私「コレください」
リ「え?」
妻「収納のなかばい」
私「でもカッコいいぞ」
妻「モノを収納するために洗面台の幅ば大きくしたんやなかと?」
私「でもカッコいいぞ」
妻「いやカッコはよかばってん」
私「モノはなんとかなるよ(断言)」
リ「まあ、これならお値段もリーズナブルですし」
妻「そうなのですか?」
と、まあ、平たく言えばこのようなやり取りの上で、こちらのマーベリイナカウンターCタイプをベースに、こちらのベッセルタイプのボウルと、こちらのシングルレバー水栓を注文。で、ボウル上面までの高さを10cm高くしてもらって90cmに。さらにせっかくだから足元もスッキリするように壁排水プランにして選択完了。いやあ、終わった終わった。
と、こんな感じでオールリクシルになった私たち一家3人の程々の家。このプランをBESS東葛に持っていったら、とりあえず図面は引いてくれて、でもなんでか出来上がる1ヶ月前に「すいません壁排水できないんで床排水にします」などと言われてあの図面はいったい何だったんだという思いにとらわれつつ無事死亡するというハプニングはございましたが、一応まあなんとか格好はつきました。
さあ、いよいよ残ったのはタイルとか床暖房とかちょこちょこ。というわけで次回、設備編の最終回です。たぶん。
次回「愛と欲望の設備選び(ドア編)」につづく
*1:ライバル企業であるTOTOさんの製品ですと教えていただきました。
愛と欲望の設備選び(お風呂編・その2)
前回までにお風呂場を含む水回りの基本コンセプトを考えた私たち一家3人。一戸建ての分際で窓のない水回りになることが確定し、今回はその中でユニットバスを使いながら開放感と連続感のある水回りを作る作業に取り組みます。
妻「そこでコレの出番ばい」
私「なんでwwwwwww」
妻「まあ聞きんしゃい」
私「なんかちゃんと考えてるっぽい」
妻「これは全部スパージュならではやね」
私「どゆこと?」
えー、妻が半日寝ずに考えたというこのプラン。連続感を出すための考えがイロイロとちりばめられております。半日寝ないのは当たり前ですが、ちょっと解説していきましょう。
まず、タイル。スパージュの特徴のひとつとして、ユニットバスなのにタイル地の壁面が選べるというのがございます。
ご覧のように4面のうち1面をタイルにできる*1のですが、こちらが「ニュアンスミックスホワイト」という、リクシルでフツーに売ってるものと同じとのこと。であれば、同じタイルを買ってきて、洗面所の並びの面に貼ってしまえば連続感が出るんじゃないかというのがその目論見であります。
私「ちょっと面白いかも」
妻「でも問題のあるとよ」
私「?」
妻「タイルはこの2種類から選べるんだけど」
妻「タイルを白くすると残りの3面が黒くなって*2」
私「はあ」
妻「残りの3面を白くしようとするとタイルが黒になるとよ」
私「ということは?」
妻「お風呂場を明るくすると洗面所のタイルも黒くなるね」
私「wwwwww」
せっかく水回り全体のムードをガラッと変えたくて白基調にしようという話だったのにやっぱりどこか黒くなってしまうという、程々の家の呪いとしか思えない事態に戦々恐々とする我々。
他のメーカーでもタイルが使えるユニットバスがあるのでソレを検討したりもしたのですが、設備の充実度(というか肩湯がない)という点で却下。で、イロイロ考えた結果、洗面所に入って目の前が真っ黒よりお風呂の奥が黒いほうがマシだろうという答えにたどり着き、1面が白タイル、3面が黒パネルという選択になりました。
妻「で、床もこがん白かタイルのあるとよ」
私「え?」
妻「なんね」
私「キレイサーモフロアとかじゃないんですか?」
妻「うん」
私「冷たくないですかね?」
妻「だってサーモタイルって書いてあるよ?」
私「(信じられるのだろうか……)」
まあ、多少掃除は大変でしょうし、おそらく多少は冷たいのでしょうが、昔住んでたマンションの水回りがタイル床でございまして、デメリットはあるもののそれはそれでいい感じだったのを思い出しました。ので、こちらはある程度納得です。
妻「で、洗面もトイレも床の色を白にそろえるんよ」
私「じゃ、じゃあまさか洗面室もトイレもタイル?」
妻「それも考えたけんが、さすがにそれは意識高すぎるばい」
私「お、おう」
妻「やけんそっちはこがんカーペットば張るのがよかと思うとるよ」
私「これってもしかして」
妻「?」
私「つまり白いじゅうたんってこと?」
妻「そうよ?」
私「水回りにそんなの敷くってチャレンジャーすぎやしませんかね……」
妻「だって防汚って書いてあるよ?」
私「(信じやすいにもほどがあるだろ……)」
先に書いた前に住んでたマンション。コレは普通の洗面所もタイル床だったのですが、こちらは歩く頻度が高いため、目地とかがボロボロになってきてちょっとめんどくさかった記憶が。ので、色味さえ統一できればこちらもある程度納得です。
妻「で、ドアはこれね」
私「これってもしかして」
妻「ガラスドア」
私「すっけすけやん!」
妻「だって不透明ブラックスモークガラスって書いてあるよ?」
私「(もはや大丈夫かこの人……)」
確かにこの部分がガラスじゃないと、いくらタイルを揃えようが床材の色味を合わせようが、連続感というのは生まれないのも確か。で、実際にショールームに行ってみたらまあ許せるレベルの透明度で、おまけに袖壁についてはBESS東葛からのNG*3が出てしまい、ドア面だけがガラスになるのであればやはりまあ許せるレベルなのではないかという結論に達し、こちらも採用することになりました。
妻「いやあ、私もやれば出来るね」
私「基本的にスパージュありきで考えられている気がするのですが」
妻「君のトーヨーキッチンと同じばい」
私「うっ」
妻「あ、それから」
私「?」
妻「オプションも全部選んどいたけんね」
私「!?」
というわけで、リクシルからこんなプリントアウトが送られてまいりました。基本的にはテレビがないだけで、ほぼ当初の予定通り全部入りになっております。若干キーボードを打つ手がワナワナしていますが、私もお風呂はどちらかと言わなくても大好きな上に、トーヨーキッチンの前科があるため何も言えません。
さあ、このままの勢いで、次は残りをパパっと決めてしまいましょう。
次回「愛と欲望の設備選び(トイレ&洗面台編)」につづく
愛と欲望の設備選び(お風呂編・その1)
ようやくキッチンのイロイロが決まり、次なる大物のお風呂に着手することとなった私たち一家3人。夫婦ともどもお風呂好きではあるのですが、こちらの管轄は妻のため、私はサポートに回ります。
で、その妻から出てきたリクエストを含め、お風呂に対する要望をまとめるとこんな感じでございます。
① 1620サイズ
② タイル壁とタイル床でホテルっぽいムードにしたい
③ オーバーヘッドシャワーが欲しい
④ 肩湯とかジェットバスとかも欲しい
⑤ 暖房乾燥機も必須
⑥ ミストサウナとかも欲しい
えーと、まず①についてはもう図面上で決まってしまっているので確定。誰が見ても明らかなように、問題は②以下の部分でございます。
私「えーと、このホテルっぽいっていうのは一体」
妻「こがん感じやね」
私「えーと、このムードを程々の家に求めると?」
妻「水回りはガラッとムードを変えたかとよ」
私「なぜに」
妻「だってあの家真っ暗やろ?」
私「お、おう」
もうちょっと話を聞いてみると、つまり茶色っぽい空間に飽き飽きした時に逃げ込んで安らげる空間にしたい、と。で、さらに上の写真のようにシンプルで連続感のある空間にしたい、と。そんな希望のようであります。
確かに理屈は分かるので本気で検討してみると、以下のような問題が出てまいりました。
・シンプルとか言いながら希望する設備が多い
・外への開放感や連続感を希望した場合プライバシーの問題が
・標準仕様以外の造作をBESS東葛にほんのり打診したらすごい勢いで嫌がられる
私「えーと、本気でこんな全部入りラーメンみたいな希望を?」
妻「おだまり」
私「コレってたぶん造作で作らないと思い通りにはならないと思うけど」
妻「思うけど?」
私「彼らにムリヤリお願いして希望通りのものができる気がしません」
妻「むぅ、それは間違いなか」
私「あとこんな開けっぴろげにしたらご近所さんの注目の的でやんす」
妻「むぅ、それも間違いなか」
えー、以前の記事でも少々触れたように、この程々の家が建つ予定の土地は、基本的に大草原の小さな家のようなトコロ。なので、どう考えたって外から丸見え。お風呂を含む水回りに窓を付けることは、あんまり得策とは思えません。で、考えて考えて、以下のような方針で行くことにいたしました。
・造作じゃなくてユニットバスにする
・ムードか機能かどちらかを選択しなくてはならない場合は機能を優先する
・外へのプライバシーを重視して水回り全体に窓を設けない
・その代わり出来る限りで水回りエリアの連続感を出す方向で
ユニットバスにするのとか機能優先ていうのはまあ分かるとして、ちょっと意味がわからないであろう下の2つ。というわけで、まずは現状の水回りの間取り図をご覧ください。
ご覧のように、東側の外壁に沿って一直線に並んだシンプルなもの。このような場合、普通は換気とか採光を考えて、外に向けた窓を付けるのが普通かと思います。
ただ、こういう場所の窓ってプライバシーを考えて曇りガラスにしたりハイサイドライトにしたりして、そもそも開放感がなくなったり、高いところにホコリが積もりやすい作りになってたりと、個人的にはあまりいい印象がない、というか意味ないんじゃねなどと思ったりします。ので、メリットとデメリットを考えることに。
【窓がある場合のメリット】
・採光とか換気によさそう
・クリアガラスにすれば開放感がありそう
【窓がない場合のメリット】
・プライバシーの確保がラク
・掃除がラク
・窓がいらないぶん安い
私「うーん」
妻「まあ、プライバシーは大切やね」
私「あと掃除がラクなのも大きいよ」
妻「湿気とかこもらんやろか?」
私「それは大丈夫」
妻「なして?」
私「今まで住んでたマンションはどこも窓なかったけど平気だったし」
妻「あー」
私「お風呂というか水回りが隣接してる空間のエアボリュームが大きいし」
妻「?」
我が家の場合、お風呂場に隣接する空間が約25畳の吹き抜けという訳の分からない構造。ので、ここに大量の空気がストックされています。で、お風呂場にちゃんとした換気扇があれば上の図のように空気が流れていくはずなので、室内の空気が異常に湿気ぽくない限り、お風呂場にはいくらでも乾いた空気を供給できるわけで。
私「隣がちっちゃい部屋だったり廊下だったりすると話は別だけど」
妻「まあ、梅雨時とかはエアコン掛けてるやろしねえ」
私「これが変に窓つけて、その窓開けて換気しようとするとこうなったりするですよ」
妻「ショートサーキットって?」
私「外からの空気をすぐにそのまま換気扇が吸い込んじゃうこと(大ざっぱ)」
妻「?」
私「そうなると、浴室のすみっこの空気がいつまで経っても換気されない」
妻「むぅ」
私「お風呂場は窓の位置が悪いと、むしろ換気が悪くなるですよ」
妻「ドア開けといてもダメなの?」
私「それだとたぶん湿気が室内に入ってくるぞ」
妻「それはいかんばい」
まあ、実際には空気さんがどう流れてくれるかっていうのは流体シミュレーターでも使わない限りイマイチ分からないワケですが、少なくともユニットバスの場合、窓がない状態での換気テストくらいやってるでしょうから、変に窓とか付けないほうがいろいろな意味で安全という気がなんとなくいたします。
妻「なんとなく丸め込まれてる気が」
私「そんなことないない」
妻「まあこれでお風呂場がカビたら、言い出しっぺが掃除すればよかけんね」
私「うっ」
こんな感じで大まかな方向性は決定。次はユニットバスを使って水回りの連続感を出す方法を考えていきます。できるの?
次回「愛と欲望の設備選び(お風呂編・その2)」につづく
愛と欲望の設備選び(キッチン編・その3)
前回は程々の家に導入するトーヨーキッチンのサイズやら仕様やら機器類を決めた私たち一家3人。早くも程々じゃない家になってきた気がいたしますが、まあ気にしない気にしない。
さて、もういっぺん間取り図に戻りますが、このキッチン、後方にパントリーという名の冷蔵庫と洗濯機とカウンターと棚と、とにかくイロイロ詰め込むスペースがございます。
で、このスペース、最初はこんなふうなレイアウトでございまして。
こんな感じのレンジ台を冷蔵庫に並べて置くつもりでございました。幅は75cmまで取れるので、今使ってる石窯ドームもキチンと置けるハズ。が、イロイロ考えていくと以下のような問題が発生する恐れが出てまいりました。
・収納スペースが足りない気がする
・玄関入ってすぐコレが見えるのはいかがなものかという気がする
・後ろ側にもカウンターがあったほうがいい気がする
というわけで、パントリーの中の壁をコストダウンも兼ねてぶち抜き、幅165cmのレンジ台というかカップボードというかカウンターを壁沿いにどーんとくっつけることに。
イメージとしてはこんな感じ。上にレンジと炊飯器とトースターとをズラッと並べても幅的には余裕のよっちゃん。収納力が足りなければ吊り戸棚も付けられるし、空いたスペースで作業も可能。よし、コレでいこう。
妻「ちょっと待った」
私「?」
妻「コレだと家電まで遠くない?」
私「あ、たしかに」
妻「格子戸は開けとくとして、このプランはいかんばい」
私「は、はい」
ということで、もうちょっと考えます。つまりクルッと振り向いただけで家電にアクセスできればいい話なので、じゃあこういうのはどうだろう?
一般的なカウンターの奥行きからもうちょっと大きくして、たとえば60cmとかにしてしまえば、家電をキッチンに向けて配置できます。おまけにワークスペースも拡大するので、お皿を並べるトコからちょっとしたパソコンでのお仕事から、果てには洗濯物を畳むとこまで兼ねられる万能収納台の完成です。やったぜ。
妻「なんか浮いとるばい」
私「あ、レンジ」
妻「どがんすっと?」
私「カウンターの下段に入れるっていうのは?」
妻「ああ、なるほど」
私「まあ既製品は売ってないだろうけど」
妻「あ」
私「?」
妻「ゴミ箱は?」
私「うっ」
確かに上の参考写真のようなカタチにするとなると、ゴミ箱までが遠いという問題は解決されません。ある意味レンジが遠いより問題であります。
私「じゃあ、レンジのとこにゴミ箱を……」
妻「レンジは?」
私「……」
妻「やりなおし」
私「いや……」
妻「?」
私「腹案があります」
妻「また!?」
私「邪魔っけなレンジはコンロ下に入れてしまえ攻撃です」
妻「そがんことできると?」
私「できるできる!」
妻「だったら最初から言いんしゃい」
私「えっ!?」
妻のありえないほど軽い返し。
そして私は気づいた。
何に?
妻が「レンジをビルトインする」という意味を分かっていないことに。
妻の認識(想像)
私「…」
私「……」
私「………」
私「チャーンス!(心の叫び)」
これはつまり合法的にビルトインオーブンを導入できるまたとないチャンス。というわけで、妻が世の中の仕組みに気づかないうちにコトを進めます。
私「いいんですか!?」
妻「それしか方法がないならしょうがなかっちゃなか?」
私「じゃあちょっとトーヨーキッチンに行ってきます!」
妻「?」
キチンと言質も取ったトコロで頭のなかにベイスターズのチャンステーマ0を鳴り響かせながら一路トーヨーキッチンに。というわけで、コンロ下に入れられるビルトインのレンジくださーい!
でもって、とりあえず今回のレンジに求める条件をざっくり伝えてオススメを教えていただきます。リクエストは以下の通り。
・電子レンジ機能付きオーブン
・できるだけ天地の高さが薄いもの
・でも容量は大きいもの
上はまあ分かるとして、下はどういうことかをちょっと説明。基本的にトーヨーキッチンの場合、コンロ下は2段の引き出しになります。で、レンジをビルトインした場合、上段の引き出しが潰れるのはもちろんのこと、下段の引き出し高さもレンジの厚みにしたがって低くなるとのこと。
コンロ下の引き出しには普段使ってる鍋を収納したいのですが、その中で一番背の高いパスタポットが入らなくなってしまうのはちょっと困る。ということで、下段の引き出し高さをある程度確保できる機種を探してもらいます。
T「で、大変申し上げにくいのですが」
私「え、ないんすか!」
T「いや、あるにはあるのですが」
私「?」
T「現在オススメできるのが1機種しかありません」
KM8100001M 60Hz | コンパクトオーブン | AEG | Products | Cooking
私「あらま」
T「ちょっと前ならミーレでもあったんですが、複合機はなくなっちゃって」
基本的にこういったビルトイン系のキカイは、広大なキッチンスペースをほしいままにする人民の敵、もとい、お金持ち向けに作られてるようで、あらゆるものをひとつにまとめないと家が成り立たない私たち一家3人が欲するようなラインナップにはイマイチ注力していないムード。くそう。
まあ、とはいえ必要とする機能は全部備わってるみたいだし、今使ってる東芝の石窯ドーム(30L)に比べて容量も39Lと増えるし、上に乗っかるIHコンロとメーカーもお揃いになるし、何よりこないだまであったというミーレに比べて安いそうなので、特に文句はありません。
T「あ、あともうひとつ」
私「は?」
T「レンジフードってどうしましょう?」
私「え、あれって選べるんですか?(無知)」
T「ペニンシュラタイプだと、基本的にこの「フラット」をオススメしてるんですが」
フラット ペニンシュラタイプ【幅90cm】 | SHOP TOYO KITCHEN
私「あ、これでいいです(あんまり興味ない)」
T「おありがとうございます」
えー、ほかにもいろんなレンジフードがあるというのを知ったのはだいぶ大人になってからだったのですが、実物を見たらカッコいいし、機能もそれなりだし、お掃除もそれなりに楽そうだし、フツーのキッチンメーカーのに比べたらそりゃちょっとは違うだろうけど、そんなに大差ないって店員も言ってたし、それは間違いないと思う。
最新のレンジフード使ったことないから知らないけど、メーカーでそんなに変わったらアホくさくて誰もトーヨーキッチンなんて買わないでしょ。個人的にはこのレンジフードで十分。
嘘かと思われるかも知れないけど今のマンションについてる20年前のタカラスタンダードのレンジフードより静かだしカッコも良かった。つまりはタカラスタンダードですらトーヨーキッチンには勝てないと言うわけで、それだけでも個人的には大満足です。
さあ、これでキッチンについてはホントのほんとに検討終了。次なる敵はお風呂です。って敵なのか?
次回「愛と欲望の設備選び(お風呂編・その1)」につづく